「君の瞳が問いかけている」を見た(ネタバレあり)
まえおき
刑務所から出てきたばかりのキックボクサー篠崎塁(横浜流星さん)と事故で視力を失った柏木明香里(吉高由里子さん)が、あることをきっかけに出会い、少しずつ惹かれあっていき少しずつ幸せに向かっていきそうになったところで、篠崎塁の過去に関わっていた人たちが、二人の関係に影を落とし始めるというお話です。
吉高由里子さんの演技が本当に良い!
このお話は、主人公の一人である柏木明香里に視力障害があって、恋人である篠崎塁の顔がはっきりとわかっていないというところに大きなポイントがあるので、吉高さんがどこまで演じられるかと言うところが重要になってきます。
でも、吉高さんの視線の配り方、仕草、表情などは少なくとも自分が見ている限り全く違和感を感じませんでした。
自分はお芝居の経験はありませんが、普通目が見えていると、動くものに対して自然に目が追っていって、視線がどうしても動いてしまうと思うので、特に目に障害があるお芝居ってとても難しいと思うのですが、見事に演じていました。
横浜流星さんも負けじといい演技!
横浜流星さんが演じる、篠崎塁は柏木明香里の障害があっても前向きでいるのに反して、過去の出来事などから影を背負っている役をとても巧く演じていました。特に、最初に柏木明香里と出会った時は、自分の名前すらいうのを躊躇うほど、人と関わりたくないと言うスタンスを持っていたのが、徐々に心を開いていくところなどは、若い俳優さんなのにとても上手でした。
色々な役を経験していって、長くこの世界にいてほしい役者さんだなと思いました。
また、キックボクサーの役なのですが、違和感なく見られました。トレーニングもしっかりやって撮影に臨んだという感じがしました。
二人の会話や行動に含まれた意味
ストーリーが進んでいく中で篠崎塁と柏木明香里が交わす会話であったり、それぞれの行動であったりが、実は伏線になっているということが、最後の最後で明らかになった時は「これ、よく考えたな〜」と驚きました。物語を考えていくときに、伏線は単体で回収されるものと、幾つも重なって回収されていくものがあると思うのですが、一つのゴールに向かってブワーッと幾つもの伏線が絡みあっていくところは見事でした。
バランスの取れた良作
演技力の高い、二人の主役の力が十分に発揮されて、ストーリーも伏線の仕込みから回収までとても巧みに組み込まれていて、細かいところを気にすることなく思い切り泣ける映画でした。一つだけ、個人的に「なぜ?」と思ったところはありましたけど、全体的にあまり気になりませんでした。
吉高さんは、「光る君へ」はとても楽しみです。