エンタメのイノベーションを生み出すために
イノベーションとは新結合である。
シュンペータという経済学者が残した言葉で、イノベーションとは一般的に”革新”と訳されるケースが多いのですが、私は”新結合”であると考えています。
私は大学、大学院を通し化学を専攻してきたので”結合”といえば化学反応そのものであるし、非常にしっくりきます。
つまり私は、学生時代からこの”新結合” [イノベーション]に触れてきていたのです。
自分の中に”化学”というベースが培われているため、仕事においてもそれを軸に考察することが多く、エンタメにおける”新結合”を企画し、実現させてきました。
一方で、私はずっと博多を仕事の拠点に置き”地方”そして”伝統”をテーマにエンタメを考察してきました。
博多からエンタメを発信出来ないか。
伝統の力でイノベーションを起こすことは出来ないか。
その”問い”に対してチャレンジをしてきました。
↓ 筑紫珠楽さんとともに演出を担当した2021年12月にホテルオークラ福岡で開催された音楽イベント『LOTUS』について書いた記事です。
そのチャレンジを通して小さな新結合を起こしてきましたが、今回新たな実験として博多の伝統”博多金獅子太鼓の和太鼓”の音を軸に、「新たな音が重なり新たな”結合”を生み出したい。」そんな想いで博多金獅子太鼓の筑紫珠楽さんを中心とする公演の演出をお手伝いする形で、私もこのプロジェクトに参加しました。
今回のイベント『撃鼓の歌』出演者
今回の演出のモチーフは中国の歴史読本『十八史略』に載っている漢詩の「撃穣歌」で公演タイトルも、和太鼓の公演であることから”撃鼓の歌”としています。
撃穣歌:伝説上の聖天子・堯(ぎょう)が、自身の政治の良否を確かめるためお忍びで町に出て、老農夫が腹つづみを打ち足拍子をとりながらこの歌を歌っている(鼓腹撃壌)のを聞き、大いに安心したという故事によります。
上述の撃穣歌同様に、感染症の拡大・戦争など、政情の不安定な世界情勢であるからこそ腹鼓を打ち、地面を足で踏み鳴らして皆で音を奏で平和の祈りを届けよう。
そんな想いを込めてメインアクトの筑紫珠楽氏がこのタイトルを命名しました。
このイベントでは筑紫珠楽氏による和太鼓はもちろん、北野武監督作品「座頭市」など数多くの作品に出演経験のある浦上雄次氏によるタップダンス、世界を旅し様々な国の音楽に触れた池田正博氏によるアフリカの太鼓であるジャンベなど世界の音が集います。
タップダンス
ジャンベ
そして音楽監修は前作品に続き、国内外のトップアーティストと共演してきた実力派ピアニスト岩崎大輔氏が担当。
岩崎大輔氏
ジャズもクラシックも邦楽も超え小さな小さなこの試みが大きなウネリになることを願いながらこのイベントを作り上げて行ければと考えています。
今回のイベントは和太鼓を中心にピアノとタップがまさに撃穣歌そのままに足を踏み鳴らし、鼓やピアノを打ち鳴らすイメージでアイキャッチを作りました。
このイメージはイラストで作りたい、そんな思いもあり若きイラスト作家のロンザエモンに依頼し躍動感を表現してもらいました。
ロンザエモンによるイラストが表紙を飾る『撃鼓の歌』のフライヤー
日本の伝統楽器である和太鼓や、西洋の楽器であるピアノ・チェロや、アフリカ民族楽器のジャンベ、タップダンス、そしてロンザエモンによるイラスト。
この”新結合” [イノベーション]が生み出すハーモニーを是非皆さんにも届けたいと思っています。
私自身も非常に楽しみにしております。
これからも地方を研究テーマにライフワークとしてエンタテインメントのイノベーションを創り出す実験を続けていきたいと思います。
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