京都エースホテルに見るライフスタイルホテルの過ごし方
京都のホテルの開発は外資系ホテルを中心に話題に事欠かない状況です。
観光という言葉を頭に浮かべるとまず浮かんでくるのは”京都”です。
アメリカの大手旅行雑誌コンデ・ナスト・トラベラーが年1回行っている「世界で最も魅力的な大都市ランキング2020」に選ばれたのも日本の京都市だったことは記憶に新しいところです。
私は九州を中心にホテルにおける体験づくりや空間演出をしておりますがやはり日本の体験の中心としての京都は一種の”憧れ”のようなものを常に持っている。
そんな気がしています。
昨年の暮れから京都、その中でも京丹後のベース・サナブレンドという京丹後にあるゲストハウスの空間の体験づくりに参加しています。
”音を浴びる”という体験づくりのために音響の設計をしたり、そのサービスのプログラムを作ったりと京都へ間接的に関わってきました。
そんな京都ですが、私も今後、開業するいくつかのホテルへ体験づくりの提案をしています。
そんな京都視察の合間に自分なりの京都体験を深めるために泊まったのが京都エースホテルでした。
京都の市街地に植栽とともに佇み周囲の景観といかに溶け込むかをとても大切にしているように感じました。
建築家の隈研吾さんとエースホテル長年のパートナーでLAを拠点とするコミューンデザイン(Commune Design)とのコラボレーションにより歴史的建造物である旧京都中央電話局(建築設計 吉田鉄郎 京都市指定による登録文化財第一号)を一部保存し修復した棟と新築棟を融合した新風館内にオープンしたと紹介されています。
ロビーに入ると天井高のある空間が迎え入れてくれました。
そこには、駆け出しのジャーナリストやデザイナー、ニュージャージー州のモーテルを定宿にしていたミュージシャンなど、クリエーティブ・ライフを地で行く人たちを応援するホテルである、本場アメリカのエースホテルのコンセプトそのままに、アートに囲まれた空間が広がっていました。
部屋に入るとギターとターンテーブルが迎え入れてくれました。
五線譜もあり、作曲も出来ます。
作曲するかどうかは置いておいても洒落が効いていて記憶に残りました。
もちろんすぐにターンテーブルにレコードを乗せ音楽をかけてギターにも手を伸ばしました。
昔覚えたコードは手が覚えているものです。
気がつくと1時間くらいギターを触っていました。
バレーコードはいい音が出ませんでしたが。
私はホテルを選ぶ際、メインバーやラウンジがあるかはとても大切なのですが、京都エースホテルには少し広めのバーがありました。
外のテラス席がとても心地よくテラス席を選びワインを飲み京都を味わってみました。
ホテルは観光のための眠るためだけの場という捉え方もありますが私はホテルは1日の滞在の体験を高める空間であると考えています。
眠るための空間。お酒を楽しむための空間。ゆっくりできるロビー。
心地よい音楽。そして朝から豊かな朝食。
そういった空間を求めるのでホテルはシティホテルやライフスタイルホテルで体験や気づきを得られる空間を求めています。
そういった意味ではこの京都エースホテルから体験を得ることができました。
朝食はスモークサーモンのエッグベネディクトのセットを頼みました。
アメリカへ旅に出ているような感覚を醸成してくれます。
空間として感性を刺激してくれたり気づきを与えてくれる空間としての心地良さを感じることが出来ました。
ロビーにも音楽が割と大きめの音量で響き渡り滞在に余韻を与えてくれました。
渋谷にもトランクホテルというライフスタイルホテルがあり人気となりましたが、エースホテルがその着想源となっていると言われています。
ホテルのスタイルも体験に溢れ多種多様な空間が生まれることはとても好ましいことであると感じています。
私も音楽があり、BARがあり、アートなどで感性を刺激してくれるホテルが増えていくことは好ましいと感じています。
京都に来たらたっぷりとその風情を感じるホテルを選ぶのも、逆にライフスタイルホテルで京都にいることすら忘れるような体験に酔いしれるのも自由で、その選択肢が増えていくとホテルライフはより豊かになっていくと思います。