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Sweet Memories 香りが運ぶ記憶

Sweet Memories。

言わずと知れた名曲です。



松田聖子ファンでなくても多くのミュージシャンに愛されカバーされ続けているので耳にしたことがある人が多いのではないでしょうか。

大村雅郎さんのJazzyで大人の色気がたっぷり含まれたメロディも愛される理由かと思います。


私はこの曲の歌い出し、天才松本隆さんの

”懐かしい痛みだわ。ずっと前に忘れていた。”

このフレーズに胸を撃ち抜かれたのです。


この懐かしい痛みを誘引したものはなんなのかと妄想してしまうのです。

実は私はこの痛みを誘引したものは『香り』であると決めているのです。



何か季節の変わり目にフッと風が吹くとともに秋の香りがしだすような経験は誰にでもあると思います。

金木犀の香りであったり銀杏の香りであったりそういった香りが風とともに運んでくる。


そうすると必ずといっていいほどその香りはその香りが漂っていた記憶へと誘うのです。

そしてその記憶は”失った夢だけが美しく見えるのはなぜかしら”というフレーズに繋がり、その懐かしさは”痛み”へと繋がっていく。

明確な主人公がいるようで誰にでも必ずある心情を描写しているのでしょう。



少し長くなりましたがこの曲のAメロを聴くと私には何か香りが漂ってくるのです。

甘い記憶は香りがそのトリガーとなり呼び起こすのだろうと思うのです。


私はこの香りと音楽だけがその時代、その記憶へと連れて行ってくれるものだと考えています。

タイムマシーンですね。

時間をトリップできるのは”香り”そして”音楽”


この二つが持つ力を重ね合わせてみたいと感じ、先日ホテルオークラ福岡で特別なクラシックコンサートを開催しました。

それは、コンサートの曲と調和するオリジナルアロマを、この日のためだけに精製し、お客様には音色とともに香りを味わいながらコンサートを楽しんでいただく。

そんな実験的なコンサートを制作しました。


そしてこの香りをプロデュースしてもらったのが齋藤智子さんでした。


斎藤智子さん


私はホテルの空間を演出する仕事をしています。

ホテルの空間を音楽でブランディングするという仕事はお受けすることも多かったのですがさらにホテル空間における体験の純度を高めることは出来ないだろうか。

そんなことを思うようになってきました。


ホテルは”食=味覚”は充実しているので演出において聴覚に加え”嗅覚”の心地良さを高めることは出来ないだろうか。

そんなことを考え始めていた時に一冊の本に出会いました。



この本で香りのテーマとして「旅」をモチーフにしていたこと。(彼女の商品でもVOYAGEという商品があり、TOKYO、PARIS、KYOTOがその題材となっています。)

そして香りを作るに辺り香りの言語化をとても大切にされていること。

(香りは目で確認することが出来ません。感じるもの。そのためイメージで共有することが難しい。そこで言語化がとても大切であると。)

そこにとても惹かれ彼女とお仕事をしてみたいと思うようになりました。

香りを通して素敵な出会いを得ることが出来ました。



先日、齋藤さんの主催する香りの講座に少しだけ顔を出す機会を頂き、そこでテーブル一杯に広がる香りのサンプルを色々と体験させてもらいました。



その日は前日の二日酔いが少し抜けきれずにいましたのでそのお話をするとミントの香りを試香紙に垂らしてもらい体験させてもらいました。

すると不思議と少し頭痛が緩和されたような気がしました。

香りの可能性を実感することが出来ました。




香りは旅へ誘ってくれます。その土地、その土地にしっかりと香りが存在しています。

そして香りを通した体験は時間を超え再びその体験に引き戻すことが出来ます。


音楽と香りは現代の唯一のタイムマシーンである。

私はそう思うのです。



懐かしい痛み。

きっと懐かしさへとタイムトリップさせてくれたものは香りであったと思います。

その香りでタイムトリップした”甘い記憶”はきっと誰の胸にも存在するものなんだと思います。


以前に私が書いたこちらの記事も併せてご覧ください ↓


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