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オリンピックの開会式に見る演出の意味、 そして企画の意味


毎日熱戦で盛り上がっている東京オリンピックですが、今回は様々な想いの交錯するオリンピックとなりました。


収束を見せぬ感染症の状況の中で開催されるのか果たして中止となるのか。

国民の誰もがその動向に注目しました。


最終の結論は無観客の中での開催。

賛否両論の中、スポーツの祭典は開幕することとなります。


国や都の政治的な判断は専門家にお任せするとして私はこの五輪において、そしてそんな渦中で開催される五輪であるからこそ開会式の持つ意味は大きいと考えていました。



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開会式とは何か


開会式とは何かというと、この世界的祭典が2週間に亘り開催することを宣言するとともに、平和の祭典の意味も持ち合わせるこの式典にふさわしいメッセージを世界で共有する場であると考えます。


イベントの演出はそのイベントに参加する参加者がいてその参加者に対し主催者が何らかのメッセージを発信する場になります。


企業の式典であればその企業のステークホルダーに対し、従業員に対し、取引先に対する感謝を表明する場であったり、ウェディングであれば結婚する二人が参加者に対しそのパートナーをお披露目する場であったり、これからの二人が幸せになることを誓ったり。


イベントはメッセージを様々な形で表現する場であると考えています。

その表現の方法を検討しより伝わる形を作っていくのが演出であり、演出家という人の仕事であると思います。


オリンピック開会式は演出や企画の宝庫


オリンピックの開会式と言えば世界に大きなメッセージを伝える”場”になるので演出や企画に携わる人間は学ぶことの多いイベントになります。

私は競技を見ることが出来なくても開会式はテレビの中継を通し毎回見て来ました。


世界中の人が見る”場”であるのですが言語は様々です。

言語を超えてメッセージを届ける。

そのためには言語以外の方法で世界中の人の心を動かさなければなりません


だから演出はとても大切で演出家が重要となるのです。

演出はそのメッセージを音楽や踊り、映像やその他、様々な手法で伝えていきます。


近年はデジタルテクノロジーの発展によりその幅が大きく拡張したように感じます。

LEDを搭載したドローン1824機による東京五輪のエンブレム、そして地球へと変化させる演出はどのように行われているのかとても目を引きました。


そして五輪競技のピクトグラムの連続パフォーマンスなど話題になりました。

このような演出手法は通常の世の中であればその年の演出では多用されるはずでした。


トレンドとなるので多くのイベントにおいてもその演出を用いて欲しいなどオーダーが来るはずです。

そういった意味でも演出屋さんや企画屋さんにとって五輪におけるその手法はアイディアの宝庫になると言っても過言ではないのです。


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もっとアピールされるはずであった日本


冒頭、役者の森山未來さんの舞で始まりました。


この踊りは様々な犠牲者への追悼の意を表したそうですが、その舞にはより深い意図があったことと思います。

しかしその意図やメッセージは伝わりにくいように感じました。

まさにこのメッセージや意図を伝えるのが演出であるのでここは惜しいように感じました。


タップダンスの演出は北野武監督の「座頭市」の演出を想起させるものではありましたが、あの場面で突然現れる意味合いも掴みにくく、そして歌舞伎と上原ひろみさんのジャズピアノのコラボもその意味合いを図るには少し難解でした。


メッセージが軸になり展開されるべきストーリーは一つ一つの演出が先立ってしまい結局、線としてのストーリーとメッセージを曖昧にしてしまったのかもしれません。


演出家の繰り返される交代や音楽家などそこに付随する関係者の相次ぐ辞任。

理想の形で着地させることは非常に難しかったのだと思います。

しかし、その視聴率は60%近くまでいったそうです。


世界中でどれだけの人が観たのでしょうか。

日本という国の本当のメッセージを伝えることが出来たのなら”日本へ訪れてみたい””日本の文化・生活様式を知りたい”など様々な視点で日本をアピール出来たのではないかと思います。


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演出、そしてメッセージの意味


今回の開会式という世界にメッセージを発信するというビッグイベントを通し、改めてメッセージを言語以外の手段で伝えることの大切さを私は感じることが出来ました。


改めてその意味の大きさを実感することが出来ました。

生涯を通しこれから”演出”という生業に向き合っていこうと思う中で今回の東京五輪の開会式は多くのことを教えてくれた気がします。


演出のための演出にならぬこと。

伝えたいメッセージのために考え抜くこと。

不必要なことを削ぎ落としていくこと。


地方のイベントに関わる人間の端くれとして今回のことは教訓として胸に刻みたい。

そう感じました。


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KAZ | ホテルエンタメを創る会社の代表
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