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人はみんな芸術家(加藤遼さんインタビュー③)

人は誰でも社会を彫刻する芸術家である

さらに、加藤さんは「社会彫刻」という言葉を教えてくれました。「社会彫刻」とは、ドイツのアーティスト、ヨーゼフ・ボイスが提唱した概念で、「人間が今を生きるために行っているすべての活動が芸術行為であり、社会を創造している彫刻行為である。その集合体が社会である」というような意味だそうです。

「芸術的な生き方とは、スタンスであり、スタイルではない。自分らしい生き方をするというスタンスから生まれる活動や作品が芸術的なのだ、という考え方に共感しています」

私も本当にそう思います。この話を書きながら、今働いているカメラ屋さんのことを思い浮かべました。職務上の立場の違いはあれど、みんな写真やカメラが好きで、いつも真摯に目の前のお客様の力になろうとし、お互いに気持ち良く協力し、それを自分たちらしいと感じているように見えます。

そして今までの人生を振り返ってみても、20代の頃に働いていた外資系自動車メーカーを始めとして、私が働きやすいと感じていた職場には、いつも「芸術家同士のコミュニティ」のような雰囲気があったような気がします。私はそういう職場が大好きでした。

ボイスが言うところの「芸術家」とは「自ら考え、自ら決定し、自ら行動する人々」だそうですが、そう考えれば、「アート」とは、狭い意味での芸術的な活動にとどまらず、仕事、家事、趣味、その他人間がやることすべてにおいて、主体的で自分らしく楽しみながら、社会を少しでも善きものにしようと取り組むという「スタンス」としてインストールできるコンセプトなのだなと感じました。

感性を開くためのヒント

「感性を開く」ということについても聞かせてくださいました。

「情報が溢れる都会に住んでいると、どうしても感性を抑える方になりやすいこともあるので、時には、とてもミニマルな空間や自然の中で、自分と対話する時間を設けることは大事だと思います。僕の場合は、例えば、自然の中の屋外展示のようなところで、情報を遮断して一つの作品に向き合うと、五感が開いて、自分の思考に集中できたり、感情が向き合えたりして、自分の内なる価値観や想いに気づき、胸が熱くなることがあります」

私が海外で美術館に行くのが好きなのと似ているかも知れません。言葉も通じない、非日常の環境で芸術作品をいつまでも眺めていると、異国にいるのに、自分の深いところにある新しい面を発見したような、不思議な気持ちになることがあります。

Life is ART!

最後に、「Life is journey, Life is ART,  自分らしい人生を。大切な人を楽にする人生を」というメッセージをいただきました。

いやー、楽しかったです。加藤さんのお仕事から、生き生きとしたライブ感と人に対する温かさを感じる理由が少しわかったような気がします。「アート活動を本業に生かす」ためのヒントもたくさんいただけました。

加藤さん、ありがとうございました!また対話できる機会を楽しみにしています。

【加藤さんの活動のご紹介】

加藤さんと仲間の皆さんが、「一般社団法人かい」という団体を立ち上げて、『あなただけの"かい"を見つける』を理念に、アーティストインレジデンスやアートワーケーションなどを事業に取り組んでいらっしゃいます。

今年度は、広島県三原市でのプロジェクトがスタートして、順次幾つかの地域でのプロジェクトを重ねていきます。

加藤さんは、かいのDirector(理事)として、地域プロジェクトのコンセプトやインパクトのデザイン、アートワーケーションのプロデュースなどを担当します。

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