知って得するオリーブオイルの話
オリーブオイルというと健康的なイメージがありますが、種類によって、また、使い方によっては体に悪い影響を与えます。
一口にオリーブオイルといってもその値段もランクも様々。一般的なランクでは、エクストラバージンオリーブオイル(Extra virgin olive oil; EVOO)、バージンオリーブオイル(Virgin olive oil; VOO)、コモンオリーブオイル(Common olive oil)、そして搾りかすのオリーブを使って作られる搾りかすオリーブオイル(Pomace olive oil)とブレンドで作るリファインドオリーブオイル(Refined olive oil)です。
コモンオリーブオイルはVOOをリファインドオリーブオイルで薄めた安めのオリーブオイルですが、搾りかすオリーブオイルとブレンドで作るリファインドオリーブオイルには、別の植物オイルにちょっとだけオリーブオイルを混ぜたものや、色をつけただけでオリーブオイルゼロの偽物もまぎれこんでいるので、注意が必要です。
オリーブオイルの最大の特徴は、他の食用油にはない、オレイン酸をたっぷり(全体の73%)含むことです。オレイン酸には、血中中性脂肪を減少させる、炎症を抑える、コレステロールを下げるなどの効果があると考えられています。
EVOOとVOOには、ポリフェノール類、ビタミンE、ビタミンKなどが含まれますが、EVOOやVOOの表示のない、いわゆるオリーブオイルにはほとんど含まれません。EVOOやVOOに含まれるポリフェノール類には、抗菌、抗酸化、抗炎症作用のほか、がん細胞の増殖を抑える作用も報告されています。
私は、First Cold pressed Unfiltered Extra Virgin Olive Oil(早摘みで、熱がかからない方法で圧搾して濾過していないエクストラバージンオリーブオイル)を使うのですが、それには大きく分けて3つ理由があります。
1つ目は、早摘みだとポリフェノール類が多いこと、2つ目は、濾過していないので、より多くの不純物(ポリフェノール類を含むファイトケミカル類)が含まれること、3つ目は熱がかかってないので、栄養成分が壊れていないことです。
我が家ではオリーブオイルは主にサラダやフムスなどの冷菜や、軽い炒め物に使います。というのは、一般的にオリーブオイルの発煙点は200度ぐらいですが、不純物が多いオイルほど煙が上がる温度が低く、高温にさらされると栄養成分も減るからです。
「揚げ物の温度は180度だからオリーブオイルは揚げ物にもおすすめ!」とする情報を見かけますが、これはかなり怪しいです。
オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は、揚げ物の温度より低い160度の加熱で毒性のあるトランス型に変化することが報告されています(参考文献)。もしあなたが1度使った油を毎回捨てるのならオリーブオイルでもかまわないのですが、複数回使うとトランス型に変わったオレイン酸が、血管や肝臓で炎症を起こす可能性があります。
イタリアでは、健康のために毎朝ショットグラス1杯を飲む習慣を持つ人々がいるそうです。私は和食でも、例えば冷奴や焼きなすにもオリーブオイルをかけていただきます。
値段の高いオイルはそのままで味わい、値段の安いオイルで調理する。体にもお財布にもやさしい選択です。