アメリカはニセ科学で肥満大国になった
肥満はアメリカの社会問題です。2017年の調査では、20歳以上の42.5%の人が肥満(BMI>30)で、そこに太り気味の人(BMI>25)も含めると、なんと大人の73.6%の人が太りすぎ!ということです。
でも昔からアメリカ人に肥満が多かったわけではないのです。1960年の調べでは肥満率は13%で太り気味の人は大体30%でした。
では、何が起こったのか?
アメリカが肥満大国になった大きな原因が、砂糖業界とハーバード大学の学者の密約にあったことが、2016年にカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者らの調査で明るみに出ました。
砂糖の消費量が上がり始めた1960年ごろ、砂糖と心臓病を結びつける研究論文が次々と発表されました。「このままでは砂糖の消費量が落ちる!」と危機感を持った砂糖研究財団は、当時のハーバード大学栄養学部長だったフレデリック・J・ステアを雇い、2人の教授、マーク・ヘグステッド、ロバート・マクガンディにお金を渡して、「砂糖は心臓病に影響しない」という趣旨の論文を依頼しました。
その額はというと、現在の貨幣価値に換算して、ヘグステッドは$3800(約470万円)、マクガンディを$7500(927万円)前金として、その後、論文掲載が決まった段階で、3人合計で$48900(約6,000万円)を渡されています。
ちなみに、最も大物だったステアは、砂糖業界お抱え学者として、生涯で29.6億ドル(300億円以上!)を食品会社などから受け取っています。
この3人の研究者は当時の栄養学を牽引する立場にあったので、1967年に発表されたその論文の影響力は絶大でした。以来50年間で砂糖研究財団はおよそ5億ドル(6億円ほど)を注ぎ込んで、「砂糖は人間が生きるために必要だ」という考えを浸透させ、アメリカのポリシーにも影響を与えました。その結果、低脂肪、低カロリーが健康食の代名詞となり、砂糖と炭水化物ばかりの加工品が市場に広がりました。
今も多くの加工品に砂糖類が大量に使われ、50年の間に砂糖中毒となった消費者は体重を増やしているのが現状のようです。日本メディアの大好きなハーバード大学ですが、こんな闇歴史もあったんです。