片思いのあの人に会いに・・・
昨日はコンサートでした。BBC PROMS。フィンランドのバイオリニスト、ペッカ・クージスト目当て。
コンサート情報
こちらから、1年間限定で聞いていただけますーーー。
The Lark Ascending は、イギリス人が誇る、イギリス人に人気ナンバーワンのイギリスのクラシック音楽。今までにも生でも録音でもたくさん聴いてきました。でも、そのどれとも違う。全く新しい、生き生きとしたひばりのさえずりでした。とても表現力豊かで、感情的で、生き生きとしていて、個性的で、イギリスの田園風景が会場に繰り広げられた。そんな感じ。ペッカにしかできない表現でした。
Thomas AdèsはUKプレミア。これ、ペッカのために書いたんじゃないの?・・・って思うほど、ペッカにぴったり。民族色ゆたかなフィドルっぽい軽い響き。なのに、技巧的。フィドラーはこんなの弾けない。でも、この豊かな技巧と表現を、ペッカはまるでパブで軽く演奏するかのように、曲と一体になって演奏する。すごかった。素敵でした。惚れ直した。
ペッカのアンコールは、シベリウス。今年初春にたてつづけに、お兄さんとお母様を亡くしたペッカ。ペッカと同じようにバイオリニストで、演奏することをこよなく愛していたお兄様。音楽にあふれた家庭を築き、音楽が大好きだった、ピアニストだったお母様。ふたりに捧げるアンコール曲でした。感情豊かな演奏に涙が流れました。
シベリウスの交響曲。フィンランドの心。フィンランドの魂であるシベリウスを、フィンランド・ラジオ・シンフォニー・オーケストラが演奏する。もう、これはね、他のオーケストラには真似できない完成度と、魂の表現でした。イギリスまで来て演奏してくれて、ありがとう。感謝でいっぱい。
フィンランドから来た彼らにしても、BBCプロムスで演奏するというのはとても名誉あること。曲間の休憩時間に、オーケストラのメンバーたちが、観客席を背景に記念撮影している姿が、なんだか微笑ましかった。嬉しいよね。誇らしいよね。ありがとう。
BBC番組〜ヴォーン・ウィリアムスの家を訪ねる
BBC番組。The Lark Ascending を作曲したヴォーン・ウィリアムスの家を訪ねる。ペッカもこの番組でこの家を訪ねています。
ヴォーン・ウイリアムスが見て感じた景色、空気に触れて、ペッカは、「この体験の前と後では、僕の弾くThe Lark Ascending は全く違うものになる」と話しています。
そして、その「後」の演奏。驚くほどに生き生きとひばりがさえずっていた。彼のバイオリンが紡ぎ出す音楽は、イギリスの田園風景の中に入り込んで、その要素を深めたもの。
ペッカ、すごすぎる。
コンサート秘話
このコンサートで、彼のソロイストとしての演奏が終わった後はシベリウスの交響曲。彼のお役目は終了して舞台裏へ下がる・・・。
下がったはずのペッカ。こっそりと、オーケストラの一番後ろの席で、オーケストラと一緒にバイオリンを弾いていました。ふつう、ソロイストが、オーケストラの一員みたいに演奏するなんてありません。しかも、自分のソロイストとしての熱演が終わったあとに。
演奏の最後のほうになって気づいたのです。「あ、ペッカがあんなところにいる! オーケストラと一緒に演奏してる!!!」って。
今回の私の席は、ステージの横あたりで上のほうからステージを見下ろす席でした。あまりいい席じゃなかったのです。でも、この席じゃなかったら、オーケストラの後ろでこっそり演奏しているペッカは見えなかった。すごくラッキーでした。多分、会場のほとんどの人は気づかなかったと思う。
全部の演奏が終わった後、オーケストラ団員たちが立ち上がってハグし合って喜ぶ。その時、ペッカはひとり取り残されました。そりゃ、オーケストラの団員と、世界クラスのバイオリニスト、ペッカでは格が違うから、まあ、ふつう、団員がペッカにハグしにはいかないでしょうが・・・。
でも、「あれ、みんなハグしてるけど、僕はハグの相手がいない・・・」と気づいたペッカ。次の瞬間には、彼の隣に置いてあったハープに抱きついていました。笑
なんてお茶目なのーーーー。
ますます、ペッカ、ラブ。
胸がキュンキュン。片思い加速中です。