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Vol.24 甘い話に騙された?! 養蜂のお師匠の策略にハマる私


ミツバチ、かわいい!

「ミツバチって、ふわふわしてて可愛い。」

初めてミツバチを間近で見た日、思わず声が出た。小さな体でせっせと働く姿がなんとも愛おしい。

モフモフで愛らしい♡
働き者のミツバチ。


そんな私の様子を見て、お師匠のぶおさんがニヤリと笑う。

「じゃあ、やってみるか!」

えっ? そういう話じゃなくて、ただ「かわいい」って言っただけなんだけど!?

しかし翌日、気づけば巣箱が家に届いていた。

……展開早すぎない!?

私はまだ何も決めてないのに、すでに養蜂が始まろうとしている。混乱しつつも、「まあ、やるだけやってみるか…」と、流されるように準備を始めることになった。

道具も揃えなきゃいけない。お師匠からお下がりをもらったり、必要なものを買いそろえたりするうちに、どんどん現実味が増してくる。

「ほんとに私、やるの…?」

そんな疑問が頭をよぎるけれど、ここで止まる雰囲気ではない。
お師匠の強引さが暴走している。


予想外のスピード感に翻弄される私

「大丈夫、ミツバチはおとなしいから!」

お師匠は、いつもの軽い調子で言う。

(いやいや、本当に!?)

慎重な性格の私は、どうしても疑ってしまう。でも、実際に巣箱を開けてみると、たしかにミツバチは穏やかに働いているように見えた。

「……案外、本当に大丈夫なのかも?」

そう思い始めた矢先—— まさかの事件 が発生する。

「痛っ!!!」

突然、父の叫び声が響く。

「え!? 何!? どうしたの!?」

慌てて振り向くと、父が顔を押さえていた。
「刺された!」
父の顔を見ると、刺されたところにハリが…。

「え、ちょっと待って!? ミツバチって大人しいんじゃなかったの!?😨」

お師匠に報告すると、 「まあ、そういうこともある!」 と、軽いノリで返してきた。

いやいや、「そういうこともある!」ってそんな感じなの!?

私はまだ刺されていないけど、次は私の番かもしれない…。そんな不安がじわじわと広がっていく。

「甘い話かと思ったら、痛い現実がきた…!」

そう、私は完全に 騙されていた。


「夜も眠れない…」ミツバチ管理のプレッシャー

それからというもの、私はすっかり巣箱のことが気になってしまう。

「大丈夫かな…?」
「ちゃんと元気? 巣箱に異変はない?」

夜中にふと目が覚めると、ミツバチのことを考えてしまい、眠れなくなる。昼間も、つい巣箱の方に足が向く。
けど、刺されるのが怖いから少し離れたところから、のぞいてみたり。


ミツバチが気になる…
気づけば夜もソワソワ…


お師匠は言う。

「ミツバチは勝手に働くから、そんなに気にしなくて大丈夫だよー」

……本当にそうなの?

何も知らない私が放っておいて、本当に大丈夫なの? もし間違ったことをしてしまったら? そんなことを考え始めると、どんどん不安が膨らんでいく。

そして、気づいた。

——私には無理だ。

ミツバチの「管理」のことを考えるだけで、胸が苦しくなる。

休職中の私にとって、今はただでさえ「普通に過ごす」ことすら大変なのに、新しい責任なんて背負えるわけがない。

「もう、やめたい」

私は家族にそう伝えた。


やっぱり無理かも——でも、逃げられなかった

家族に「やめたい」と言ったとき、少しホッとする気持ちがあった。

もう解放される。責任を感じなくていい。

でも、次の瞬間、母が言った。

「みんなでやろうよ」

「せっかく始めたんだから、一緒に続けよう」

……え?

やっと辞める決心をしたのに、家族は私の気持ちを受け入れてはくれなかった。

「私には無理だよ」と言っても、家族は「大丈夫、手伝うから」と引かない。

違う、そうじゃない。

私は「手伝ってほしい」んじゃなくて、「やめたい」んだ。

「できるよ」と言われても、私は「できる」とは思えない。

……どうして辞めさせてくれないの?

家族の優しさが、かえって苦しかった。


「お師匠、マジで何者?」

それでも時間は過ぎていく。

相変わらず私は「やめたい」と思っていたけど、ふと気づくと、ミツバチのことを気にしている自分がいた。

「今日は元気かな?」
「最近、花が咲き始めたな」

散歩中、咲き始めの花を見つけると、
ちょっと気になってしまう…🌸


そんなことを、無意識に考えている。

……あれ? 私、なんでこんなにミツバチのことを気にしてるんだろう?

「もうお前、立派な養蜂家だよ!」

お師匠は、ニヤリと笑ってそう言った。

いやいや、ちょっと待って。

私は巻き込まれただけで、養蜂をやるつもりなんてなかったのに……。

……もしかして、私、お師匠の策略にハマってる!?

「流されるのも悪くない?」

そんな考えが、ふと頭をよぎる。

ミツバチは、人間の思い通りに動かない。

でも、それが面白いのかもしれない。

「思い通りにならないからこそ、人生は面白いんだよ」

かよばぁの昔話を思い出す。

もしかしたら、私の人生も、そうなのかもしれない。


風に乗り、自由に舞うミツバチ。
思い通りにならないからこそ、面白い。ミツバチも、人生も。

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かよばぁの孫日記(そろそろ中年)
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