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小説#9 さすらい猫の旅-雨の日でも-


「今日は土砂降りだなぁ。」
「ひよ…」


珍しく、朝からずっと雨が降り続いている。

「今日はずっとここで雨宿りだね。」
「ひよ。」

耳を澄ますと、雨の流れる音、水たまりに落ちる音、金属に跳ね返る音、川がごうごうと流れる音。

様々な音色が聴こえてくる。

しばらくたつと、
ざぁ と流れていた音が、遠ざかっていくのが分かった。

「もしかしたら止むかもしれないよ。」
「ひよ!」

すると雲の隙間から、太陽が顔を出し、地上を照らし始めた。

「…うわぁ」


雨に濡れた屋根や、植物たちがきらきらと反射し、その上には鮮やかな虹がかかっていた。

眩しいくらいの太陽と、色とりどりの景色に思わずため息がこぼれる。

話すことも忘れるくらい、それはきれいな景色だった。

「…ひよ」

ふいにひよがこちらを見て笑ったように見えた。


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