![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29006927/rectangle_large_type_2_f097c0cd37a0525f7e5312fd89a078e5.png?width=1200)
小説#9 さすらい猫の旅-雨の日でも-
「今日は土砂降りだなぁ。」
「ひよ…」
珍しく、朝からずっと雨が降り続いている。
「今日はずっとここで雨宿りだね。」
「ひよ。」
耳を澄ますと、雨の流れる音、水たまりに落ちる音、金属に跳ね返る音、川がごうごうと流れる音。
様々な音色が聴こえてくる。
しばらくたつと、
ざぁ と流れていた音が、遠ざかっていくのが分かった。
「もしかしたら止むかもしれないよ。」
「ひよ!」
すると雲の隙間から、太陽が顔を出し、地上を照らし始めた。
「…うわぁ」
雨に濡れた屋根や、植物たちがきらきらと反射し、その上には鮮やかな虹がかかっていた。
眩しいくらいの太陽と、色とりどりの景色に思わずため息がこぼれる。
話すことも忘れるくらい、それはきれいな景色だった。
「…ひよ」
ふいにひよがこちらを見て笑ったように見えた。
いいなと思ったら応援しよう!
![かやさんだよ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/37204227/profile_43b704439c3d43ca5ba1aa98fe5ae3d0.png?width=600&crop=1:1,smart)