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羅生門河岸にあった長屋見世(切見世)のつくり



最近、某作品で検索されているかたがおおいので、以前に植田朔乃介(旧サキチ)さん @usakiti_work と検証した長屋見世の構造を寸法つき画像で公開します。
長屋見世についての説明は下記記事にて行っています。
https://note.com/kayanoya/n/n20756223356d

※当記事では『守貞漫稿』、『江戸の町方』石井良助、『江戸吉原図絵』三谷一馬、『陰に咲く花ー吉原下級遊女考日野原 健司 2009 を中心とし、ほかに浮世絵などをまじえて検証を行いました。
                       2022年1月現在

■一般の長屋住居と長屋見世は構造が違います。


■比較図

※ 無断転載禁止です

■長屋がおかれている配置のちがい

長屋の入り口に門があり、そこに木戸番がおり、というのは変わりません。
実際に江戸時代の地図で比較してみます。
図1は江戸時代の江戸深川、現在の東京都江東区にあった貸長屋の沽券図(左)と、それをトレースしたもの(右)です。木戸番がいる塀のなかに長屋式の建物がいくつかはいっているのがわかります。
図2は羅生門河岸のあった新吉原の西河岸の店舗図です。浮世絵もある三日月長屋の部分を一部拡大して使用しています。店舗名とともに赤字で書かれている数字は吉原細見とつけあわせると、そのとき働いていた女性の人数ではないかと推測に至りました。
図1の長屋と比較すると、図2の長屋の建てかたに特徴があるのがわかります。

長屋見世(切見世)は、一般の長屋で入口にあたる木戸が入口なのは変わりません。が、図2から例に出すと三日月長屋は入口が二箇所あります。どういうことかというと、入口には妓夫(妓楼の男衆)がいて、例えば図2の入口上から『入店』させ、時計回りにぐるりと張見世をしている女郎のまえを歩かせます。そして同じく図2の入口下から『退店』させます。この客の動線が詰まらないように、妓夫が棒を客を持って追いやったりして見張っていたそうです。*『守貞謾稿』より
いわゆる遊郭で想像できる張見世とは違う、張見世のようすは当記事の有料部分で紹介しています。

図1 長屋と人々の暮らし③ 江戸の町屋敷 江東区深川江戸資料館
 図2 吉原弘化四年図 国会図書館デジタルコレクション


■まとめ 間違えやすい長屋のかきわけ

時代小説や漫画やアニメだと、一般的な住居用長屋のまま、長屋見世が描写されていることがあります。とくに、間口と道、とくに街並みはまったく違うことが前章までの比較検証でわかりました。
文字だとわかりにくいので、植田朔乃介(旧サキチ)さん@usakiti_work が描き起こしてくださった図を添付します。
また、一般的な住居用長屋は最後の章にとても参考になるサイト様にリンクを貼りましたので、ぜひご覧になってください。

■長屋見世のつくりの特徴と寸法

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