水道水と精神医学
タイトルを見て…、「鹿冶さん、ついにネタ切れですか…?」とツッコミを入れる方がいると思います。
確かに、私はこれまで「◯◯と精神医学」というお題で、やや(かなり)マニアックな精神医学ネタを紹介してきました。
「ネタがないから、ついにこんな悪ふざけを…」、と疑いの目を向ける方もいると思いますが、私は声を大にして言いたい…。
「これは真面目なサイエンスの話なのです!!(迫真)」
逆にこの記事を読むと、皆さんが毎日使われている水道水に強い関心を抱くことは間違いありません!
...、ということで、今回は水道水と精神医学、特に水道水に含まれるあるミネラルと、その地域の自殺率の関係を調べた論文を中心にお話しします。
【温泉県からの研究】
<目的>
大分県における水道水のリチウム濃度と、その住民の自殺率の相関を調べる。
<方法>
大分県の18市町村における2002-2006年の自殺率と各市町村の水道水のリチウム濃度(2006年測定)の相関を調べた。
リチウム濃度はイオンクロマトグラフィー法を用いて測定した。
<結果>
2006年の大分県内18市町村の飲料水中のリチウム濃度は0.7から59μg/lの範囲であった。18の市町村の標準化死亡率は、リチウム濃度と有意に負の相関を示した(つまり、水道水のリチウム濃度が高い地域では、住民の自殺率が低い)(β=-0.65、P<0.004)。
<結論>
本研究は飲料水のわずかなリチウムが自殺リスクを低下させることを示唆している。
<まとめと感想>
私がこの研究を知ったのは、今から約10年ほど前。
某学会で聞いた温泉県こと大分県の研究グループの発表にとても驚きました。
...、というか、水道水に微量ながらもリチウムが含まれている事にまず驚きましたね。
ちなみに写真は温泉県のものではありません。
【世界の研究】
俄(にわか)には信じられない温泉県の研究ですが、とても興味深かったので、その後も類似研究をフォローしておりました。
そしてわかったのが、”水道水のリチウムと自殺率”に関する研究は、世界中で行われている、ということでした。
2020年には、水道水のリチウムの効果に関する複数の研究をまとめた”メタ解析論文”が発表されましたので、この研究について概要を紹介します。
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