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メンタルヘルス・マネジメント Ⅱ種(ラインケアコース) について

2022年にマネジメント職に従事する様になって以降、日々の実践を交えながら自分なりにチームマネジメントに対する学びを深めているが、アマチュア的な状態から脱することを目的に "枠組みの整ったスキル取得" による字固めも並行して進めている。ここでは「メンタルヘルス・マネジメントⅡ種 (ラインケアコース) 」の勉強を行う中で特に印象に残った内容に対する振り返りを備忘録として記載する。


1.メンタルヘルス・マネジメントⅡ種とは?

メンタルヘルス・マネジメントの中でⅡ種はラインケアコースとも呼ばれるもので、メンタルヘルスケアに関する知識の内、管理監督者(上司)が部下のメンタルヘルス対策を推進するために必要な知識の習得を想定としたものである。

なお、Ⅱ種(ラインケアコース)の他にⅠ種(マスターコース)とⅢ種(セルフケアコース)があり、Ⅰ種は人事労務管理スタッフや経営者、Ⅲ種は一般社員を対象とすることを想定したものである。

~今回参照したテキスト📚~
「スッキリわかる メンタルヘルス・マネジメント検定試験 Ⅱ種ラインケアコース」 (TAC / 中島佐江子)

2.特に印象に残った内容

以下では上記テキストを通じて勉強する中で "特に印象に残った点" を5点に絞って紹介する。200ページ以上のテキストからごく一部を抜粋したのみであり、詳細に興味を持たれた方はテキストを覗いてもらえたらと思う。


①心の健康問題の特性(該当ページ:P22~)

職場に存在するストレス要因は、労働者自身の力だけでは取り除くことができないものも多いため、事業者によるメンタルヘルスケアの積極的な推進が重要になります。事業者はメンタルヘルスケアを推進するにあたり、次の事項に留意します。

(1) 心の健康問題の特性
心の健康問題は、客観的な測定方法が十分に確立していないため、その把握と評価は難しい。

(2) 人事労務管理との関係
労働者の心の健康は、職場配置、人事異動、職場の組織等の人事労務管理と密接に関係する要因によって、より大きな影響を受ける。

(3) 家庭・個人生活などの職場以外の問題
家庭問題な個人生活などの職場外のストレス要因の影響を受けている場合も多く、個人の要因などもある。

~🔎印象に残った背景 ~
心の状態と捉えることの難しさは日々感じているが、テキストの中でも、「心の健康問題は客観的な測定方法が十分に確立してない」と名言されている点が印象的であった。見るべき視点はチームが置かれる状況によっても変わると思うが、測定方法が確立されていないからこそ、自チームが置かれる状況を踏まえた "自分なりの軸" を持つ必要があると考える次第であった。


②面接指導の事後措置(該当ページ:P33~)

事業者は、(医師による) 面接指導の結果に基づき当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければなりません。事業者はこの医師の意見に勘案し、"必要がある" と認める時には次の措置を講じなければなりません。なお、面接指導結果は5年間の保存義務があります。

 ・就業場所の変更
 ・作業の転換
 ・労働時間の短縮
 ・深夜業の回数の減少
 ・その他適切な措置

~🔎印象に残った背景 ~
自身やメンバーも時間外労働時間に応じて面接指導を受けることがあるが、医師の意見は「従う」ものではなく「 "必要がある" と認める時」に措置を講じるという点が印象的であった。具体的な措置内容は管理監督者(上司)に委ねられるからこそ、医師の意見を正しく聞き入れ、適切な措置を行うための土台となる知識を自分の中に持っておく必要があると考える次第だった。


③メンタル不調4つの誤解(該当ページ:P89~)

誤解1:メンタルヘルス不調は心の弱い人の問題である
⇒うつ病などのメンタルヘルス不調は特殊な人の心の病では全くなく、すべての人、誰もが状況によってメンタルヘルス不調になる可能性があります。

誤解2:メンタルヘルス対策を講じても企業の経営上はプラスにならない
⇒メンタルヘルスが不調な状態が継続することは、職場の士気低下を招き、事故やミスの発生と隠蔽という非常の大きなリスクを企業サイドとして背負うことにもなり、労働力損失も見逃せません。

誤解3:メンタルヘルス不調は治らない
⇒統合失調症は様々な経過を辿りますが、約3分の1は医学的にも社会的にも完全回復します。そしてうつ病は、これ以上の治療効果が期待できます。

誤解4:メンタルヘルス不調などの精神障害者は危険である
⇒精神障害者の割合は人口の約2%以上ですが、刑法犯の全検挙者に対し、精神障害者が占める割合は1.3%にすぎません。

~🔎印象に残った背景 ~
各内容はすでに日頃から認識しているところではあるが、「一般的にはこの様な誤解もまだ全く無くなっている訳ではない」という認識を持って自らも立ち回るべきだと改めて考える中で印象に残った。総論としては理解がある人でも、同じ様な仕事をする職場内の関係性の中で生じた場合には、主観が入ることによってまた異なる受け取り方になる場合もあると感じている。


④ストレスへの対処行動(該当ページ:P148~)

ストレス反応の発生を抑えたり、反応の程度を低減したりするための行動をコーピング (Coping) と言います。コーピングは大きく2つに分けることができます。一般的には問題解決をする問題焦点型が好ましいですが、私たちは2つのコーピングを適宜選択しています。

(1) 問題焦点型コーピング
内容:ストレッサーを取り除くことを目的とする
事例:友達と喧嘩をしたとき自分から謝って解決する

(2) 情動焦点型コーピング
内容:ストレッサーによる怒りや不安などの情緒不安定を低減させる
事例:友達と喧嘩したら、お酒を飲んだりして気を紛らわす

コーピングは、刺激の発生→認知的評価→情動的興奮→身体的興奮までの一連の流れ のどこかに「くさび」を打ち、ストレスの流れを中断するように働く役割を担っています。

~🔎印象に残った背景 ~
日頃、問題解決に臨む場合においても "直接的に" 問題に焦点を当てる場合もあれば、まずはその人の気持ちを静めることによって "間接的に" 働き掛ける場合もあるが、メンタルヘルスの文脈ではそれぞれ明確に大別されている点が印象的であった。自分がメンバーのメンタルヘルスケアに対処する際には、「どこにくさびを打っているのか?」を明確に意識して臨みたい。

⑤利用できる社外資源(該当ページ:P213~)

事業場が抱える問題や求めるサービスに応じ、メンタルヘルスケアに関し専門的な知識を有する各種の事業場外資源の支援を活用することが有効です。

(1) 行政機関
 ・労働基準監督署・労働局
 ・保健所
 ・保険センター

(2) 労働安全衛生分野の機関
 ・中央労働災害防止協会
 ・産業保健総合支援センター

(3) メンタルヘルス対策の役割を担った機関
 ・いのちを支える自殺対策推進センター
 ・精神保健福祉センター
 ・勤労者メンタルヘルスセンター
 ・地域障害者職業センター
 ・こころの耳

(4) その他の機関
 ・健康保険組合
 ・外部EAP機関 ※EAP:Employee Assistance Program)
 ・いのちの電話
 ・働く人の悩みホットライン

~🔎印象に残った背景 ~
メンタルヘルスケアに関する社外資源が多く存在する点が率直に印象的であった。メンタルヘルスケアは繊細なテーマであるために、ともすれば「管理監督者(上司) と 一般社員 (部下) の関係性」のものとして閉じて考えがちである様にも思うが、むしろ繊細なテーマであるが故に社外資源 / 第3者的機関を上手く活用することが望ましいのではないかと考える次第であった。

3.その他、印象に残った内容

メンタルヘルスに関する文脈の中で、組織マネジメントに関する言及もあったが、その中で印象に残った内容を2つ紹介する。


①ワーク・エンゲイジメントとは?(該当ページ:P47~)

ワーク・エンゲイジメントとは、次の3つが揃った状態です。
(1) 熱意:仕事に誇りややりがいを感じている
(2) 没頭:仕事に熱心に取り組んでいる
(3) 活力:仕事から活力を得ていきいきしている。

また、ワーク・エンゲイジメントの高い人の特徴は以下です。
(1) 健康:心身の健康が良好であり、睡眠の質が高い
(2) 仕事:職務満足感や組織への愛着が高く、離転職の意思が低い
(3) 成果:自己啓発の意欲が高く、役割行動や役割以外の行動を積極的に行う


②管理監督者に必要なマネジメントスキル (該当ページ:P54~)

組織を円滑に運営するために必要な要素は、マッキンゼー・アンドカンパニーの「組織の7S」があります。
■ハードの3S
経営者が比較的短期間に変更できてコントロールしやすいもの
・戦略 (Strategy) ・組織 (Structure) ・システム (System)
■ソフトの4S
会社で働く労働者によって決まるもので変更しにくいもの
・価値観 (Shared Value) ・スキル (Skill) ・人材 (Staff) ・スタイル (Style)
※スタイル:組織の持つ雰囲気、職場環境、経営スタイル、社風、組織文化


4.全体を通して

自身の立場は「プレイングマネジャー」であるため、自身が抱える実務を進めながら、更にチームメンバーの業務マネジメントならびにメンタルヘルスケアを行う必要があるが、自身に圧し掛かるもの重さにたじろぐ場面が度々あるのが正直なところである。

その中で、今回は「メンタルヘルス・マネジメントⅡ種 (ラインケアコース) 」の勉強を進めた状況であるが、頭を悩ましがちなメンタルヘルスケアの観点において、参考になる対応フローやテンプレート、関連する社外資源を把握することができた。(上記ではその一部を紹介)

自身がマネジメントするチームメンバーのメンタルヘルスケアを行う上では最前線に立つのはあくまで自分自身ではあるが、決して自分1人で何とかしようとするものではなく、関連の知見や職場内産業スタッフ、その他の社外資源も上手く活用することによって、ケアの負担を分散させながらより良い職場づくりを行っていける様にすることが望ましいのだと思う。

【参考資料】


ここまでお読み頂きましてありがとうございました!💐
この記事は「自分のための学び」を公開している形ですが、一読頂いた方にとって、何かお役に立つ部分があったなら甚幸です!

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