読書記録 すべての白いものたちの / ハン・ガン

2025年は読書メモを書きます。

この冬休み、寝る前にベッドのなかで読んだ。落ち着いた気分にも冬の雰囲気にもよく合ったし、いいタイミングで読めたなーと思った。

連作詩でもあり散文でもある独特の文体。日本語に訳されても抜け落ちない感情、おもに乾いた哀しみ。同じくノーベル文学賞受賞者のオルハン・パムクの「雪」の女性バージョンみたいだとも思ったし、そういやパムクは「私の名前は赤」だっけ、色を題材にした一人称の小説書いてたなー、などなど思い出す。

並行して読んでた「論理的とは何か」と頭ん中で影響しあったのかもだけど、人それぞれに道理や合理があるとして、ロジック部分は文化や環境から決定的に影響を受けるんだけど(オルハン・パムクはアラブ、ハン・ガンはアジア)、結局のところ、誰とも分かり合えない個人の事情や感情を結晶化したものだけが本当のリアリティを持つのかも知れない。それに共感することが読み手として感じ取れる本当のリアリティなのかもしれない。ストーリーに没頭するとかじゃなく。あと、そういう作品がちゃんとノーベル賞とるんだよなー。

誰にでもある、理由もわからんまま、たまに思い出す風景・音・匂いみたいなもの。勝手に想像した別世界や、そこに住む人たち。それを何とかして、もっている才能を駆使して、言葉にしたのがこういう文章なんだろう。

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