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風俗店員物語 番外編 (松井の話)

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今回は風俗店員物語に出てくる松井の話です。


松井はこの店の店長だ。ちなみにハゲている。

松井は仕事が出来るとは言い難い。 正直、仕事で言えば主任の方が出来るだろう。

そして松井は口が悪い。暴言を呼吸するように吐いている。

俺も普段働いている時には有り得ない罵詈雑言をぶつけられている。

驚くことにキャストにも暴言を吐いている。

髪を切ったキャストに本気の口調で似合っていないと連呼し、キャストをブチギレさしたのはついこの間の話だ。


だが、店を飛んだり突然辞めたりするキャストはいない。

なぜか松井は愛され、不思議と松井は人たらしだった。



ある日、出勤する予定だったスタッフがインフルエンザにかかり俺と松井の2人で店を回さなくてはならなくなった。

基本4人で店を回す。
リスト1人 ホール2人 ドリンク1人といった感じだ。

だがこの日は2人しかいない。

松井にリストを任し、俺はホール業務を全て担当することになった。

2人しかいないので通常の客足でも有り得ないくらい忙しく感じだが何とかその日の営業を終えた。


そして、締めの清掃を行う。


俺と松井は日頃から

松井「俺以外トイレ使うの禁止にしていい?」

俺「してもいいと思いますけど待合と待機室ウンコだらけになりますよ笑」

松井「…たしかにそうなるな。使ってもいいよ。」
のようなやり取りを無限に繰り返していた。

松井の記憶力はハト以下である。1日に3回はこのやり取りをする。

見えないところでクルポッポーと言っているに違いない。


基本、松井は独裁的な考えであるため汚れ仕事はしたがらない。

そのため汚れ仕事は俺たちヒラの社員に振られる。汚れ仕事の1つにトイレ掃除がある。


この店にはトイレが2つあり、社長からは

「トイレには神様がおる。神様がおる場所は常に綺麗にしとかなあかんぞ。」

と週に1回行われるミーティングで常々言っていた。明らかにあの歌の影響を受けている。


しかし、この日はスタッフが2人しかいないため、松井もトイレ掃除を手伝うことになった。

俺「僕は待合のトイレ掃除するんでキャスト用をお願いします。」

松井は普段トイレ掃除をしない。全て主任に任せている。そのためトイレ掃除の仕方など全く分かっていない。

どこが汚れていて、どこを拭けばいいのか全く分かっておらず手探りで掃除していた。

俺は待合のトイレを掃除していると


キャスト用のトイレから

松井「ぐわぁぁぁ‼︎‼︎」
松井の悲鳴が上がった。


俺は駆け寄り、トイレを確認するとそこには水浸しになった松井と大量に水を出しているウォシュレットという地獄絵図がそこには広がっていた。

松井「俺!こいつ俺を殺そうとしてる!何とかしてくれ!」

松井はいつもの独裁者ではなく、トイレのウォシュレットに怯えるハゲた30代のおっさんになっていた。


俺は大爆笑してウォシュレットのボタンを止める。


松井は立ち上がり、ビチャビチャになったスーツを着たまま、

松井「オメーだけは絶対許さねぇからな‼︎」

と収納されてしまったウォシュレットに怒鳴りつけていた。

完全に病気である。
すぐに脳の検査に行ってもらいたい。


しかし、こんなハプニングを日々生み出すから松井は愛されているのだろう。





後日、主任にこの話をすると

主任「俺が新人の頃全く同じこと松井さんやってたよ。」



やはり松井はハトだった。


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