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サウイフモノニ ワタシハ ナリタイ

最近、高校化学を1から勉強し直そうかなって考えています。目標は生化学、特にタンパク質の理解を深めたい。そう、タンパク質構造予測AI、Alphafold2への興味がその源泉です。

元々、高校時代の「相対的な得意科目」は「化学」でした。450人ほどの同級生の中で総合成績では常に400番台で低空飛行を続けていた自分ですが、「化学」だけは何故か常に上位。進学した筑波大学も、筑波の自然学類で化学を勉強したいと思ってオープンキャンパスに申し込んだのがそもそものきっかけ。結局学力不足で情報学類に進みましたが、情報学類とはいえ二次試験も英数物化4科目が必須という鬼畜仕様なので、化学の力を最大限発揮することはできました。こうして物理ができない工学屋が生まれる訳です(笑)。

教育系Youtuberのヨビノリたくみさんのチャンネルに、日本の量子コンピューター研究を牽引するお二方との対談がアップされています。いきなり「誤り訂正」とかいうコンピュータサイエンスの専門用語から始まり、それが宇宙起源ビックバンに繋がるという壮大な対談となっています(笑)。自分が言いたいことは後述するので、動画は興味のある方だけ見ていただければ。

量子コンピューターは今まさに発展途上にある学術分野ですが、この対談の中で、古澤先生も中村先生が研究者にとってとてもためになる話をされていていました。古澤先生は「量子力学」「制御論」それぞれ深いレベルで理解することで二十年来常に最先端にいることができていると。中村先生は「量子力学」を共通言語として「超伝導」「情報処理」などいろいろな分野の専門家が会話することで、様々なアイデアや発展が生まれていると。お二方の話は個人的には似ていると感じていて、異なる2つの分野それぞれに精通し融合させることで、発展途上の分野で新しい概念や理論を生み出していくという、研究者魂を刺激される内容でした。

さて、ここまでの量子コンピューターの話は物理学という大きな体系の中ででの融合の話でしたが、次は奇想天外な融合のお話。

LoopStationのエフェクトを繊細に使いこなす現職のお坊さん、赤坂陽月(あかさかようげつ)さん。赤坂陽月さんがこのようなパフォーマンスを発信するに至るまでの背景や想いなどは、ビートボックス元日本チャンプのmohimaruさんのインタビュー動画でお話されています。

このインタビュー動画の最後に、赤坂陽月さんが「ナンバーワン」より「オンリーワン」を目指して自分の世界を広げていくことの有義性、音楽(ここではビートボックス)以外の何かに興味を持って深掘りしていくことによって、まったく新しい世界観を生み出せる可能性について説かれています。あれ?さっきの量子コンピューターの話と似ていますね?


翻って自分自身について考えてみます。
まず「先天性ミオパチー」。この不治の病とお付き合いを始めてから、いろいろな事を見聞きしたり調べたりしてきました。もちろん神経内科医のような専門的な知識を持ち合わせている訳ではありませんが、何が分かっていて何が分かっていないのかはある程度理解しているつもりだし、根本的な治療に向けての最先端の研究も出来る限り追いかけているつもりです。ただ黙って病気の進行を待つだけよりはマシだよねっていうささやかな努力なんですけどね。
「システムエンジニア」としてもある意味エキスパートレベルかなと思います。実務経験も15年、たくさんの成功と失敗を経験してきました。経済産業省認定の超難関国家資格「アプリケーションエンジニア」(現在のITストラテジスト)も一発合格していますから、まあ客観的にもそれなりのレベルのエンジニアと言えるかなと思います。
そして「人工知能」。自分の卒業論文はニューラルネットワーク、修士論文はファジィ理論と遺伝的アルゴリズムですから、人工知能、特に人間の脳機能のモデリングと機械学習について研究をしていました。人工知能は今まさに発展著しく、様々な分野に応用されていますが、基礎的な理論や知識は持ち合わせているはず(と思いたい)。

ちょっと話は逸れますが、最近麻雀AI「ナーガ」が一般公開されて話題を呼んでいます。将棋の世界ではAIによる指し手の評価値を元に良手悪手を判断することが一般的になってきましたが、将棋AIと麻雀AIには決定的な違いがあります。それは、麻雀が「不確定情報ゲーム(局面を評価する際に、見えていない情報がある)」であるということ。同じ打牌でも隠れている情報(相手の手牌、山に積まれている牌、王牌)によって最善にもなりうるし最悪にもなりうるという点。「ナーガ」はオンライン麻雀「天鳳」で膨大な数の試合数をこなして学習を繰り返し、言葉に語弊があるかも知れませんが、人間の記憶力をはるかに凌ぐ「経験則」で評価値を算出してるのではないかと思っています。自分も天鳳で何度も「ナーガ」と対戦経験がありますが、まさかこういう形(牌譜検討ツール)で公開されるとは思っていませんでした。自分との対戦経験も「ナーガ」くんの血となり肉となっていると思うと、胸が熱くなりますね(笑)。


さてそろそろまとめましょう。自分がなってみたいオンリーワンは、ズバリ、
「先天性ミオパチー」×「AlphaFold2(AI) 」×「システムエンジニア」
こんなイメージ。

ベン図

筋ジストロフィーをはじめとする原因不明の筋疾患について、原因究明のために日々研究をしている方々はたくさんいらっしゃると思いますが、先天性ミオパチーについては患者数が圧倒的に少なく、なかなか研究の進展にも時間がかかるのかなという感じがしています。また、Alphafold2を使用してタンパク質の構造予測プロセスを劇的に改善させることが可能になったという多数の報告があり、可能性を感じざるを得ません。そしてシステムエンジニアとしての経験は、Alphafold2を実際に取り扱う際のハードルをグッと下げていると思うわけです。Alphafold2はコンピュータシステムですから。

そんな中、自分に圧倒的に足りないのが有機化合物、タンパク質、酵素に関する知識。そこで、冒頭の一文に繋がるわけです。


もちろん一筋縄ではいかないことは重々承知しています。でも残りの人生、自称研究者としてジョブチェンジして、先天性ミオパチー治療薬同定(!)にむけてあれやこれやと頭を悩ませてみても楽しいんじゃないかなと考えた次第です。可能性は限りなく0に近い、0かもしれない。0だろうな(笑)。でも元々研究者志望だったのでね、楽しみです。


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