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落語家の二世が古典落語を再発見するまでを描く、映画『みんな笑え』

イントロダクション

人気も人望も野心もなく、恋人もずっといない、うだつのあがらない五十路の二代目落語家の人情味あふれるほろ苦い生き様を描いた、鈴木太一監督 、野辺富三主演の映画『みんな笑え』。
独特の感性で人間を描く監督と、蜷川幸雄演出の舞台に 何度も立ちながら下積みを重ねた個性派俳優・野辺富三が出会い、それぞれの境遇を照らし合わせながらオリジナル脚本を執筆。

もがきながらも一進一歩する落語家を主人公に、演芸の世界で生きる人々の現実や、親子・師弟関係、介護問題、歪な恋愛模様を独自の視線で描き、野辺富三の主演デビューにふさわしい不器用な快作となった。
落語と漫才、親と子をめぐる、熱くほろ苦い人間賛歌。 不器用な人間が、自分らしく生きることの意味を問いかける演芸エンタテインメント。

ストーリー

斎藤太紋(野辺富三)は、落語の師匠で父でもある勘造(渡辺哲)の高座名「萬大亭勘太」を襲名した二代目の落語家で現在 50 歳。母が数年前に亡くなり、認知症が進む先代の勘造はすでに落語家を引退、出来の悪い太紋は日々怒鳴られながらも、自宅介護しながら親子二人で細々と暮らしている。
有能な父と比べられることを嫌い古典落語から逃げ、ウケもしない自作の新作落語ばかりを続けている太紋は、まった く人気がない。さらには、有能な弟弟子の勘乃助(今野浩喜)にも陰で小馬鹿されている始末だ。

そんなある日、売れない若手漫才師の濱本希子(辻凪子)が寄席で太紋の高座を偶然にも鑑賞したことで、そのネタが、 かつて子供の頃に母の陽子(片岡礼子)がカセットテープでよく聞いていた落語のネタであることに気づく。普段から 漫才のネタをうまく作れずに苦悩していた希子は、聞き慣れた太紋のネタに親近感を感じ、秘密裏にそのネタをアレンジして自身の漫才に取り入れようと考えた。しかし、すぐにその盗作は母の陽子に見ぬかれる。

諦めきれない希子はネタ使用の許可をとるため太紋に会いに行くこと、意外にもあっさりとネタ使用の許可を得ることができ、そのまま勝手に太紋を師匠として仰ぎ、付き纏う。今までまったく進まなかった筆が不思議と進み、そのネタで挑んだ漫才オーディ ションの反応も上々だった希子にとって、すべてが順調に思えたのだが、逆に相方の千恵(今川宇宙)はどこか浮かない顔を浮かべることが多くなっていた。

一方、希子の母・陽子は経営するスナックがうまくいっておらず、テナントオーナーの西条(杉本凌士)に縋るしかな い苦しい日々を送っていた。そんな中、希子が太紋にネタのお礼をしたいと、母のスナックに連れてきたことで、陽子 は太紋と思わぬ再会を果たすこととなる。そこから止まっていた時間が動き出すかのように、各々の人生が変動しはじ め、太紋は自分の人生を見つめ直していく--。 落ちぶれた落語家の虚しい生き様を通して描く、落語と漫才、親と子をめぐる、熱くほろ苦い人間賛歌が幕を上げる。

『みんな笑え』
監督・脚本:鈴木太一
出演:野辺富三 辻凪子 今野浩喜 今川宇宙 和田光沙 杉本凌士
落語監修:桂枝太郎
製作・配給:ナミキリズム
©2024 映画「みんな笑え」製作委員会
(日本/カラー/ステレオ/シネスコ/105 分)
公式サイト https://minnawarae.com
2025年2月8 日より、新宿 K’s cinema ほか 全国順次公開

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