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白川津 中々
2020年2月24日 08:32
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883949571/episodes/1177354054883949573 仄暗い和室に雨音……こもっていた熱が、通り雨によって削ぎ落とされていく。 「涼しくなりましたね」 色の白い女がそう言った。その肌色は生来のものではなく白粉をまぶした擬態なのであったが、それが返って女の女たらしめる、生々しい取り繕いを
2020年2月21日 07:38
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892707986/episodes/1177354054892707995 ペイブの通りに出てきたのは九時前だったと思う。 電車を降りてから蕎麦を手繰ったものだから胃が重く、冷たい空気が過度に沁みていた。 余暇にわざわざ外へ出てきたのはなにも好きで朝目が覚めて、お茶を淹れて啜り、やることもなく窓の外を見ていると、途端
2020年2月14日 22:58
連載中の作品 罪とは雪原に滴る鮮血のように醜く艶やかなものである。 何かのきっかけで出会い伴侶となったナナセはよくできた女であった。 家の事においては抜かりなく気が利き、殊台所においての芸の細やかさは思わず感嘆の溜息を打つ程であった。それを褒めると目を伏しながら「嬉しいです」と控え目に喜び、いじらしさが胸に染み入った。 ナナセと過ごした時間はきっとで世でいうところの幸福とい
2020年2月7日 22:23
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893399384/episodes/1177354054893399386 夜深けに歩く音がありそれはヒールがコンクリートを刺す響きだった。 飲み過ぎちゃったかしら。 百合の胸の内とは裏腹に足取りは正しく、真っ直ぐに進んでいく。自らが務める夜の店で客からすすめられた酒で酔うほど初心ではなかったが、ふわりとし
2020年2月4日 21:16
豪勢な夕食であるのは今日が結婚記念日だからに他ならないわけでありつまることろが俺と彼女のスペシャルデイなわけなのである。 チーズよし! 生ハムよし! サラダよし! スープよし! ワインよし! 奮発した飛騨牛よし! 金額の桁が違うダイヤのネックレスよし! 全部よし! この日の為に貯め込んだ金をはたいて拵えた食材の数々。どこから見てもエクセレント。これを目
2020年2月1日 01:10
南西小学校では週に一度クラス会が開かれる。 議題は生徒たちが出席番号順に考えるものだから、時には世界平和の実現についてだとか、時には他クラスよりも早くグラウンドのスペースを確保するにはどうしたらよいのかとか幅が広いのだが、大抵はしょうもない盛り上がりを見せ、適当に終わるのであった。 が、今回の6年4組のクラス会は一味違った。 「それでは、上村君はなぜ気持ち悪いかについて話し合いたいと思い