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立ち呑み小説

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立ち呑み屋で一杯やる間に一人で読むのにちょうどいい短編。フィクション、もしくはフィクションとノンフィクションの間。購読は1本単位、立ち呑みなのでキャッシュ・オン・デリバリーで。ハ…
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30年目の津軽海峡冬景色

いつも行く立ち飲みのビアバーで時々会う知り合いにこんな話を聴いた。 27歳の時彼は2年付き合った彼女と別れた。 別れる半年前にしばらく会わない方がいいと言われて会っていなかったから実際には1年半くらいしか付き合っていないのかも知れない。 別れてすぐ彼女は友達の紹介で外国人と結婚し、まもなく2人の子どもを産んだ。 その当時携帯電話は、一部の会社で社用電話として販売されたばかり。30年後にはだれでもが携帯電話を持ち、インターネットに繋がり、動画で話せて云々というのはSF小説の

立ち呑み小説「妻がヌードになる」

今週妻がヌードになる。 そのことだけがくらくらと頭をめぐる。トマ酎をちびちびやりながら、まだ1杯目だというのに酔いが回るのか思考が回るのかくらくらして仕方ない。首の付け根もどんよりと痛い。 いつもの立ち飲みの、いつものカウンター。メニューが書いてあるホワイトボードの、女店員が書いた丸文字を何度も繰り返すように読んでいるが、ちっとも頭に入ってこない。酔っているせいか二重に見える。 山口の隣には、ぱっと見きれいな中年女がいて、時折ガハハと大きな声で笑っていた。女の隣で日に焼

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立ち呑み小説「冷酒は味塩で」

昔、父が私を連れて酒場に連れて行ってくれた。小上がりとカウンターのある割烹で、短冊に書かれた献立が一つ一つ壁に貼ってあった。父はそこから好きなものを食べなさいと言った。酒場にあるもので私が食べられそうなものは、卵豆腐くらいだった。  その酒場に連れられて行くと、いつも卵豆腐を頼んだ。父が酒場に私を連れて行く時は、母は来ない。母は父が金を払って他の酒場に行くことを嫌っていたし、父が行く酒場は鎌倉にあったから、電車に乗って行く。帰りには、タクシーでベロンベロンになって帰って来る。

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