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詩人の愛 ~ 谷川俊太郎先生とフィアット500

 今朝のニュースで、谷川俊太郎先生のご逝去を知った。

 俺は正直、本業であるところの「詩」作品には詳しくない。
 だが幼少ガキの時分から親しんできた『鉄腕アトム』や『ビッグX』の主題歌、NHKみんなのうた『誰も知らない』、そして反戦歌『死んだ男の残したものは』といった「詞」作品は、間違いなく俺の成分となっている。
 そのほか先生の活動期間がちょうど俺の来し方と重なることも含め、無意識のうちに触れて地肉となってきた数々のお作もあるわけ(はず)で、あらためて感謝の念に堪えない。

 ところであくまでも個人的にだが、先生の訃報が今朝もたらされたということに、不思議な感慨がある。

 というのも2つ前の記事で我が家のフィアット500チンクエチェントを12ヶ月点検と整備に出したことを綴ったのだが、その「ウチのチンクちゃん」が、およそ2週間ぶりに帰ってきた矢先のことだったからだ。

 実は3年前にチンクちゃんが我が家に来てほどなく、たしか当時の昼の仕事の最中だったと記憶しているが、女房からApple Watchにメッセージが届いた。
「谷川俊太郎さんもフィアット500に乗ってるんだって!!」

 そのメッセージに貼られていたリンクがこちら。

 フィアットの日本法人によるウェブマガジンfiat magazine CIAO! での谷川先生への取材記事で、当時からしても6年ほど遡るものだったのだが、さらに目を奪われたのは記事中に「杉並にあるご自宅を訪問」とあったこと。
 なんと、同じ区民である。
 で、当時はまだ酒場をやっていたので、その週末に、土曜日だけいらっしゃる文学好きのお客様(ご夫婦)に話題として向けたところ、
「ご近所ですよ」
「ゑ゛ぇぇぇ~~~っっっ!!!???」
 と、こうなった。

 そして毎度おなじみ、持つべきものはGoogleマップ好きマニア伴侶パートナー(笑)。お客様のだいたいのご住所は存じ上げていたママ(当時)こと女房があっさり記事中の写真と同じアボカド色のチンクが駐車されている家をiPadを駆使してストリートビューで発見。翌日だか次の週だったかの日曜日にウチのチンクちゃんで行ってみて、勝手に横付けさせていただいた。
 それが本記事のタイトル写真。

 幸せな体験だった。

 さて上記記事中でも紹介されているように、谷川先生もフィアット500が大好きだったらしく、CIAO!誌に、というか現行チンクの10歳の誕生日に、詩を贈られている。
 署名サインも含めての味わいなので、テキストではなく、画像として引用させていただこう。

「fiat magazine CIAO!」Jul 31, 2017
オーナー紹介〜詩人・谷川俊太郎さんが語る「クルマへの愛」

より画像引用

 拙稿でもこれまでさんざん綴ってきたように、フィアット500というのは他にも増して、「人格」を投影したくなるクルマだ。初代トッポリーノはつかねずみも、先代チンクエチェントも。
 先生のお作にもそれがにじみ出ているし、だからこそGIALLO BRICHINOジャッロ・ブリチーノ(やんちゃな黄色)なウチのコと、先生ンチのコGUACAMOLEワカモレ(アボカドソース)とを並べられたのが本当に嬉しかった。もしかすると我が家で「ウチのチンクちゃんチンクちゃん」言い出したのも、あれがきっかけだったかもしれない。

 そんなわけで先生の「ワカモレちゃん」がこれからもご遺族などによって可愛がられていくことを祈りつつ、我ら夫婦も元気になった10万馬力のチンクちゃんとますます楽しみを見つけていこうと気持ちを新たにした次第だが、実は当方この老夫婦、学生時代に出会ったもののその後はお互いそれぞれの人生を送っていた中で20年ほど前に再会し紆余曲折を経て入籍したのが6年弱前という経緯がある。

 で、今回の訃報を受けていちばん驚いたのが、俺が映画公開当時よりもこの数年内にあらためて大好きになった『世界の約束』の作詞も、谷川俊太郎先生だったということ。

世界の約束
作詞:谷川俊太郎/作曲:木村弓/編曲:久石譲/歌:倍賞千恵子

涙の奥にゆらぐ微笑みは
時の始めからの世界の約束

いまは一人でも二人の昨日から
今日は生まれきらめく
初めて会った日のように

思い出のうちにあなたはいない
そよかぜとなって頬に触れてくる

木漏れ日の午後の別れのあとも
決して終わらない世界の約束

いまは一人でも明日は限りない
あなたが教えてくれた
夜にひそむやさしさ

思い出のうちにあなたはいない
せせらぎの歌にこの空の色に
花の香りにいつまでも生きて

歌ネット

 宮﨑駿監督の映画『ハウルの動く城』の主題歌だが、ご案内のように劇中ではヒロインのソフィーの容姿が、少女と老女との間でころころ変貌する。
 これが俺からすればどうしても、学生時代と、再会した頃と、そして現在といったさまざまそれぞれな女房の姿を知っていることに重なるわけで、さらに今本当に幸せだからこそこの歌詞が沁みるわけだ。
 そしてその作詞が誰だかというのを今日に至るまで考えなかったということ。こんなことはほとんど初めての経験ことで、驚きまた不思議でもあるわけだが、かんがみればまあ、そんなもんかもしれんなあとも思う。

 魔法ってのは間違いなくあるし、奇跡ってのも起きる。いつも何度でも。

 今日、先生の訃報から思い起こされた俺にとっての人生のメリーゴーランドこそ、最後のタニカワシュンタロウマジックだったかな。

 とまれ本当に、ありがとうございました。

 空をこえて(ラララ)星のかなたで、まずはゆっくりなさってください。

 Arrivederciさようなら!!

仕事帰りに本稿を綴りながらイタリアンカフェで、
イタリアビールと
生ハムとアボカドのジェノベーゼを

献杯!!



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