(読書感想文)他人の不幸は蜜の味/真梨幸子 著『私が失敗した理由は』
・あらすじ
たった一度の人生、失敗したくない。そう願ってきたのに「成功」できていない落合美緒。ある夜、コンビニで勤務先の同僚とばったり出会うが、翌々日出勤するとその同僚は、隣人一家四人を殺害したという容疑で連行されていた。他人の「失敗」を前に、美緒の心はときめくがーー。イヤミス女王の放つ傑作。
・感想
真梨幸子さんの本、大好きなのだが、人間の厭な部分をこれでもかと見せつけられるから生きてくのが嫌になっちまうんだよね。そしてその嫌な部分に共感してしまう自分が何よりも嫌になっちまう。
登場人物がまー多いから覚えるまでが大変なのと、今までの真梨幸子さんの作品と比べるとかなりリアリティに欠けるというか、いささかドラマティックすぎるというか、人死にすぎな。さすがに。しかしなんだかんだと物語に引き込まれてしまいあっという間に1日かからず読み終わってしまった。しかし人は死にすぎな。
それぞれの登場人物が、それぞれ些細な失敗をし、そこからあれよあれよと転落してゆく。結局一番の失敗というのは"不本意に死ぬこと"ということなの…?
それにしても、これだけたくさんの人が出てくるというのに誰にも共感できないのも珍しい。わたしは一気に読んでしまったからまだ話についていけたが、登場人物が多すぎて、細切れに読む人は話が分からなくなりそうではある。そして驚く程に人の命の扱いが軽い。人の死がとてもサラッと流れるようにスルーされてゆく。もう気持ちよさすら感じる。次から次へと人が死んでゆくのに、誰も大してそれを気に止めてなさそうなのが面白い。倫理観バグった人間しか出てこない。
あっ……でもわたし、まだ死にたくないからこの辺にしときますね……。
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