そりゃ高揚するわ~【RRR】~
噂には聞いていた。何か月か前に公開した時、観に行きたいなあと思っていたけど、機会がなかった。
天候も心配だったし、夫も忙しくて休みの日も出なければならなかったり、ようやくのお休みに心身ともに休みたかったり。
昨年の冬は「スパイダーマン / ノーウエイホーム」を年明け早々に観た。MCU(マーベルシネマティックユニバース)のはもちろん全部観ていたけど、それ以外のはまったく観ていなかったので、その前後に、それまでのスパイダーマンシリーズを全部観て、「スパイダーマン」だらけの年明けだった。
それにひきかえ今年は全然二人で映画を観ていない。
一人で配信のは何本か観たけど、感想書く気持ちが進まなくてあきらめてしまった。
「RRR」が再び映画館にやってくるとわかって、夫にどうしても観やすい時間帯にある間に観に行きたいと訴えた。それでも夫の心身ともに少しは余裕のある時じゃないといけないから、そうそうチャンスはない。「RRR」はアクションものだから、できれば配信じゃない方がいい。大画面で観たい。
ああ観れるかなあ。「アントマン」も近いうちに公開されるし「鬼滅の刃」も観たい。他にもたくさん観たいけど、とりあえずこんな状況だから、最低限それだけはと思っている。
*ほんの少しネタバレあります
「RRR」観た人が何故みな高揚しているのか、観ればわかるかなあと思っていたけど、ご多分にもれず夫も私も単純に高揚した。
MCUですっかりヒーローもの好きに火がついた私にとって「カッコいい!」は楽しいのだけど、何度も「それはカッコ良すぎなのでは」と笑ってしまうシーンがたくさんあった。演出がだいぶファンタージーなのだけど、「過ぎる」ともう笑えてくるってものだ。「うそーん」の連続。戦い方もそうだけど、猛獣もたくさん出てくるよ。
そうか。これが「ツッコミどころ満載」とも言われるゆえんだったのか。
展開も演出も、あまりにツッコミどころ多過ぎて大げさだと、そんなの何もかもどうでも良くなって「カッコいい!」になっちゃう。
映画にはそれほどリアリティを求めていない私なので、「うそーん」が楽しくなってきて、マスクの中で「えええ?!」と何度も笑ってしまった。
ずっと楽しいのかと言えばそうではない。
植民地であるための「悲しさ」は、しっかりとリアリティをもって描かれている。今もどこかで起きている場面なのだろうと思うと、胸がつぶれそう。武器を手に、って士気上がっていく場面も喜ばしくないし、拷問シーンは全然直視できない。
むしろつらい気持ち、ヒリヒリ痛い気持ちが、楽しい時でもつきまとう。
人権問題の重たさはずっと強烈に描かれている。
1920年代の出来事だけど今の世の中、どれほど変わっているのだろう。人々の考え方はより良く、互いを尊重できているのだろうか。
ただ映画の見せ方は息をつかせぬわけでなく、肩がこるわけではない。
途中で「インターバル」って字が出た時、「えっ。もしかしてCMみたいのとか裏側とかが流れるの?」とか思っちゃったけど、インドでの休憩なのだろうと何となく聞いたことがあるのを思い出し察した。それでも一瞬インドの国民性などに思いをはせた「インターバル」。そこからの内容はまたつらかったのだけど。
あと途中でいきなり踊り出すのがインド映画だ。あれが苦手という方たちもおられるようだけど、今回はそれほど不自然な入り方ではなかった。「どうしても踊りたいのね」と笑ってしまうけど。
「ナートゥ・ナートゥ」のダンス。「ナートゥをご存知か」から入り、キレッキレな踊りっぷりを見せてくれる。とにかく踊りのキレが良すぎるので結局また笑う。どうかしてるよあのキレ!
そしてラーマとビームの、互いを思うアツいアツい友情には何度もこぶしをあげたくなる!
エンドロールでもみんな踊っているから、終わると実際に目の前のショーの幕が下りたような感覚になって、楽しかったぞ! アツかったぞ! と拍手。
映画が終わってから知った。ラーマとシータはインドの二大叙事詩の一つ「ラーマ―ヤナ」が基になっていたこと。
実在したコムラム・ビームとA.ラーマ・ラージュという革命家たちを、友達にしてみた歴史フィクションであること。
ラーマもビームも神話があって、それぞれ兄弟の存在があったこと。
まだまだ知らないことはたくさんあるなあ。それらの教養を前提として観ているインドの人たちはもっと興奮する映画なのだろう。
そりゃいくらでもカッコ良く描きたいよね!
夫もわざわざ観に行って良かったと感慨深そう。
いやあ楽しかった。