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思っていたよりずっと好みの楽しい映画だった!~「アーガイル」~

 スパイものだけどなんかちょっと楽しそうなんだよなあ。
 予告を観てそんな風に思ったけど、でも監督がマシュー・ヴォーン。
 マシュー・ヴォーン監督と言えば「キックアス」や「キングスマン」シリーズで有名。

 「キックアス」は、何も知らないで軽い気持ちで観てしまった。でもムンクの「叫び」みたいに顔が伸びるんじゃないかと思うくらい怖かった。ホラーとかサスペンスとかの怖さじゃなくて、バイオレンスが。ストーリーの面白さはわかるけどさ。心の中で何度「ギャー!」と叫んだか。まだ当時は怖いシーンで上手にぼかして見たり、字幕に集中したりができず、思わず目をつぶってしまった以外はハッキリ見てしまい、泣きそうになった。ああいうシーンを目にすると私は夢に出てきてしまうので、できるだけ忘れようとした。できるだけ忘れようとした結果、本当に忘れてしまった。
 音楽はロックで好みのためサントラを買って何度も聴いていた。記憶がすっかり薄れた頃に「どんなだっけ」と軽い気持ちでまた観てしまい、またムンクの「叫び」みたいな顔で観終わった。

 映画としての良さはわかるけど、怖いからもう観ない!
 強く主張したものだから、夫はマシュー・ヴォーン監督の映画を観る時には私を誘わなくなった。「キングスマン」シリーズは、もっとグッとくるけどもっとイカレているし、もっと下品で私には怖いシーンがあるよ。とのこと。良い映画なのだろうけど。うなされるのだから観ない選択をしている。しょうがないのだ。

 だから今回の「アーガイル」も、面白そうだけど警戒した。
 ただ予告の雰囲気からあきらめきれず、小学生にも見せられる映像かどうかを調べた。
 大丈夫そうだとわかり、「マシュー・ヴォーン監督でも私も観たい」と訴えた。ただスパイものだから、ミステリーだったりスリルだったり、多少緊迫感のある部分はあるのではと心の準備をしていた。

*ネタバレはほぼありませんが、どんな映画かも知りたくない人はこの先読まないで下さいね。




 まさかラブコメだとは。
 いやちゃんとスパイものだし、ちゃんとアクションなんだけどね。
 でもコメディで、冗談みたいなラブ要素も多少あって、楽しかった!
 
 観終わった後、「サム・ロックウェルが、今までの映画の中で2番目にカッコ良かった」と夫が言う。

 確かに。
 1番は「ジョジョラビット」で演じたキャプテンK。もう魂持っていかれそうなくらい良い役柄だった。ただの怖くてイヤな軍人かと思いきや、戦いにウンザリしていて、主人公ジョジョを何度も救う。人間くさくてね。愛にあふれていた。私は本を燃やすシーンの、キャプテンKの表情にヤラレた。そして最後のシーンね。
 この映画を観た後、夫と二人で「キャプテンK!」「サム・ロックウェル!」と、混同しながらおおいに盛り上がった。

 で、その次にカッコ良かった。今回の「アーガイル」。

 55歳なのに、アクションだってキレキレだった。
 そんな彼と同い年の夫と、サム・ロックウェルについて盛り上がれるのはとっても楽しいひと時なのだ。

 そして主人公の女性を演じるのは「ロケットマン」でイヤな母親役を演じたブライス・ダラス・ハワード。
 ここでの彼女はめっちゃ魅力的!
 ちょっと精神を病んでいるミステリー作家だけど、どこにでもいそうな中年女性。こんな役も良いなあ。

 彼女の書く小説が、実際に起きている事とリンクするもので、それをもとにストーリーは進む。
 スパイ映画だけあって謎解き要素とか二転三転ある。
 でも緊迫感はほぼない。アクションシーンになると、ジェームズ・ガンの映画みたいにロックが流れ、観ている側に心理的負担がなくてラク。

 そもそも「アーガイル」と思われる角刈りの彼を、日本が作ったPVでは、ジェラードンのアタック西本が演じていたものだから、画面に彼が出てきただけで笑えて仕方ない。
 カーアクションでやたらにリアルに首が揺れるのも、アタック西本がかぶって見えてきて笑えてしまい、最初から全然緊迫感がない。
 それから「初めての恋人に抱きつくくらい、熱烈にしがみついて」みたいな台詞と、そのシーンね。あれで「ああこれコメディ映画なんだ。笑って良いのね」とはっきりわかる。そしてあの辺りでもうサム・ロックウェルに気持ちを持っていかれる。

 私はアイススケートのシーンで一番笑った。

 コメディはやっぱりバカバカしさに振りきっていないとね。
 もちろんスパイ映画ではあるから「えっそうなんだ」って、何度も驚かされるけど、それも含めて、めっちゃ楽しかったー!

 すごく好みの映画なので、また観に行きたいけど、もうすでに良い時間にやっていない。公開したての頃は風邪ひいちゃって観に行けなかったのよ。また昼間に上映してくれないだろうか。


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かわせみ かせみ
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。