見出し画像

本がたくさんあるのって、わくわくする

 わくわくする、って説明できますか?

 なんかうれしくてなんか気分が高揚してなんかさ、ホラ。なんか!
 
 くり返す音のタイプのオノマトペってたくさんあるし、意外とそれに頼って言語化するの、難しいですよね。

※※※

 小学生の頃から本屋に入るのは好きだった。特に買いたいものがなくても、入ってうろうろする。棚の間をぬうように歩いてじろじろタイトルを眺める。

 大型書店は豊富な量で、図書館ほど古い本はないけれど、自分の探したい分野を見つけられるのが嬉しい。

 田舎街だと選択の余地なく小さな本屋だけで、探したい分野の数冊からは、持ち帰ってまで欲しい本は見つからない。

 小さな本屋がつぶれていく様子を喜ばしくなんか見ていないのも、念のため書いておく。


 札幌で、7月は大型書店に行くのを楽しみにしていた。なにしろ6月は買いたい物をしぼりすぎて、ほとんど何も手に入らず、歩きまわるだけ歩きまわった。膝サポーターを手に入れた翌日も、もっと歩いてただ疲れただけで、欲しい物が見つからず。

 その教訓は、「どうしてもこれ」としぼらず、ウィンドウショッピングを楽しみながら歩こう。以前はそうやって歩いていたものだったのに、久々の都会に気負ってしまったようだ。

 ゆっくり店内を歩きながら、若い時ならあんな分野にもこんな分野にも手が伸びていたなあと思い出す。

 今は、あるコーナーではハウツーなんか知りたかないやいという気持ちで通り過ぎ。
 別のコーナーではそんな生き方をしていて良いのかとせき立てられ。
 さらに他のコーナーを歩いていると、これくらい知っておきなさいと叱られているような気分に。

 こんなに疲れるんだっけ「書店」って。


 それじゃダメだよと言われ続けているような気分に勝手になってしまい、店内の別フロアに上がり、そこにあるカフェでひと息。

 と思ったら、戸惑うくらいめちゃくちゃ静かやん!

 考えてみたら本を見に来ているんだものね。一人のお客さんが多いのね。

 気を遣ってしまって肩がこってきちゃった。

 息がつまるようで早々に退散したくなってしまったけれどコーヒーが熱いので、こうやってレポートでも、と書いている。

 首が痛いぞ。

 肩甲骨まわりも固まってきたぞ。

 あっ。更年期のホットフラッシュやってきたぞ。急に汗だくだぞ。


 でも今この瞬間は退散したい気持ちがたあるにせよ、日常的にこんな風な場所で落ち着けたらサイコーだなあと思う。

 オシャレなカフェが併設されているなら図書館も良いな。

**

 この後、汗を拭き拭きコーヒーを飲みほしてカフェを出たら、そこのフロアは私向きだった。楽しくてあれもこれもと手が伸びる。

 何とか絞って三冊。

 いやあ自分で書かないと意味ないよ~! とか思っていた年表なのに、パラパラと見てしまったが最後。

 ……。これで良いやん。わかってはいたけど。なんて便利。

 日本で〇〇が起きていた頃、北・東アジアでは、インド・東南アジアでは、オリエント・西アジアでは、ヨーロッパでは、どんなことが起きていたかパッと見てわかるように書かれている。頑張って書きかけていただけに、整理されているのが美しくてウットリだ。


 大正時代をもっと知りたいと思っているのだけど、更年期のつらさで休んでいた。
 もちろん熱意は変わらないので、楽しむぞー。

 「鬼滅の刃」から好奇心が始まったので、こんなタイトルの本につい目が行ってしまう。だけど、中身は神話・縄文・弥生時代から始まっている。「鬼滅の刃」に出てくるキーワードの歴史が書かれてあるのだ。耳飾りや神楽などはこの第一章で、舞台になった大正時代については第八章344ページから(索引を除いた383ページ中)ようやく始まる。その章は大正ロマンから始まり、一つの言葉につき、一ページの簡単な説明だけど、知っていても意外ときちんと説明できないものが多いので「なるほど」と楽しい。 


 さらに私は昔からの好奇心で、日本語の教え方だの言葉の文化だの言語学だのはついついのぞきに行ってしまう。これは状況と熱意のバランスがくずれてから体調もくずれて、迷走中でもある。

 でも外国人とカタコト英語で話しながら日本語をちょこっと説明する時。こういうの知っておくとすごく便利なのよね。ニュアンスなんて自分で考えれば良いんだけどね。人それぞれだったりするし。だけどオノマトペってすごく日本人的で好き。

 中でも、くり返す音。

 表紙に書かれてあるような絵で、一つの言葉ごとに挿絵が描かれていて、ユル可愛い。
 
 「わくわく」で始まり、もうそれでこの本の楽しさを象徴しているよう。
 わくわくについては、「期待や喜びで胸が高鳴り、落ち着かない様子」と具体的に書かれている。もちろん可愛い例文と挿絵付き。
 気に入ったのはいくつもあるけれど、例えば「ぱらぱら」は、散らばった様子や本をめくる音の他に、人や物が少ない様子など、いくつも使い方がある(もっと箇条書きにきちんと説明が書かれている)。日本人はそれをすべてわかって使い分けているよなあと思うと面白い。「ふわふわ」と「ふかふか」がちがうとかね。
 
 こういった言葉ができた経緯もほんの少し書かれていて、絵のユルさに心温まりつつ、わりとちゃんとしている本。まだその言葉を知らない子供や外国人に、説明が上手くできない時に、これを参考にするのも良いんじゃないかしらと思う。私にとっては五十音順だともっと嬉しい。多分、辞書みたいじゃなく絵本らしくしたくてこんな風にしたのだとは思う。

 心理学関係は、どうやら熱意は下がってきたようで、今回は買わなかった。

 楽しかったなあ。

 7月札幌行きの収穫の一つは、大型書店を楽しんだこと。ネットで買うのとは全然ちがう。やっぱり都市部に住みたい理由の一つ。大きな書店や図書館があるところ。もちろんそれだけじゃあないけれど。



いいなと思ったら応援しよう!

かわせみ かせみ
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。