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みんな誰かでみんな私~人生が愛おしくなる「一心同体だった」~

 ずいぶん年上の人が「友達になりませんか」と言ってきたら断りにくい、って内容の記事だったかな。それを見た時に、年齢差以上に「えっ。友達になろう、って申し込んでそうなるの?」と疑問がわくのが、どうしても抑えられない。
 だってその人にとっての「友達」と、言われた側の「友達」だってちがうかもしれないし。相手の雰囲気によってこちらの気の持ち方も変わるかもしれないし。
 
 何度も「友達」について書いては、整理しきれず、自分の思う「いいところ」に落とし込めない。気持ちがまとまってないんだよな。
 書きかけてはうなり。宙を見上げ。首をひねり。眉間にシワを寄せ。そもそもなんでこんなに考えこんでいるんだと忘れるようにし。考えすぎと言い聞かせて目の前のことに没頭し。今度こそと書き始めてもけっきょくまとまらない。
 50歳を超えたのに今年は「友達」について考える日のなんと多かったことか。
 苦い別れもたくさん経て白黒つけたくなくなった最近。年々変わっていく人との付き合い方や友達との距離感。ネットで趣味の合う人やnoteを通じての付き合い。

 考え続けていたころ、noterさんからの紹介と、「面白かった」との感想が熱を帯びていて、感銘を受けた。

 やまかわうみさんのとっても素直な感想を読んで、友達について考え続けていた私はタイムリーだ! と本を読みたくなった。
 

  前半は、女性の心情をこんなにも上手に言葉で表現できるなんて、男性は読まない方が身のためかもーなんて思いながら読んでいたけど、後半になるとその考えは変わった。
 女性同士の友達関係について書いてあるのに要所要所で気になる男性側の言葉や表現。あるあるだわあ。言われたわこんな言葉。思ってたわこんな風に。
 むしろ男性の存在があることで文字通り「浮き彫り」になる女性同士の関係性。
 
 そうか。これって社会のせいでもあるんだ。
 女性の、社会に対する怒りに満ちているようにも読めたし、女性同士、立場や考え方がちがえど、もっと支え合おう協力しようと励ます応援の気持ちにも満ちている。
 
  バトンを渡す年上の女性たちが与えてきた影響だって大きい。
 
 私たちは、母親や周りの年上の作ってきた社会の中を生きている。それは少しずつ形を変えているはずなのだけど、その環境の中で不満を持って変えないとそのままってこと。そのままで次の世代にバトンを渡していいの? 女性はこのままで良いの? と問われているみたいだ。
 
 幼少期から、付き合う友達が、次の章で主人公となって、その「わたし」も「友達」を語る。さらにその次。友人関係はハッピーエンドかわからないけど、次の章で関係は終わっていると知る。
 その苦い後味は、読んでいる側にとって経験済みで、他の人もこんなものなのかなとささやかにホッとしてしまう。
 だけど、この多様な女性たちは一人の心の中で揺れ動く誰かとも読める。だってどの人の気持ちも少しずつわかる。どんな立場にいたって経験したことのある感情や考えがたくさん。

 そしてわかるわかると読んでいたら、「友達になりませんか?」のニュアンスの言葉も出てくる。

 なるほど。そうやって良い関係を築ける間柄もあるんだな。きっと一目で互いを感じるほどにその時の相性が良かったのだ。
 でもずっと続くかは別で、それを友達と呼ぶかどうかなんて本人たちの気持ち次第なんだ。
 その時に確かな関係を自分たちで認められていたらその人たち同士は友達なのだろうし、私みたいにやっぱり築いていって信頼関係を持てるようになってから「友達」と呼ぶ人もいるだろう。
 うーん。やっぱり人によって「友達」の概念なんてちがうものなんだ。じゃあ私だけの考え方は自分で改めてまとめてみたいな。

 そんな風に読み進めながら、私だけの考え方は時々あからさまにあった。
 「わかるわかる」「あるある」が圧倒的に多く散りばめられている中で、時々ゾッとしてしまう私にはない考え方や物事のとらえ方。「えっ。みんな(誰か)はそんな風に思っていたの」が少なからずあった。
 でもきっとそれってよく言われる、「良いとか悪いとかじゃない」。意地悪い考え方と捉えられる面あるけれど、それ以上にそう考えざるを得ない環境に思いをはせる。
 多くの女性は、私の友人たちを思い起こし、ちょっとしたすれ違いから大きなすれ違いまでを思い出させた。みんなその時その時で、それぞれの気持ちや考えを抱えていたのだろうなあ。友達同士の葛藤も。私に対しても。描かれる女性たちに友人たちを重ね、自分を重ねる。
 ここに出てくる女性たちは性格や経験は一人ひとり違いながら、みんな誰かで、みんな私。

 大人になってからも起きてしまう友人関係への葛藤は、どうやら多くの人が持つ。その右往左往してしまう感情が言語化されて、理解してもらえたような安堵感で読み終えられた。
 そして過去の友達たち、今の友達たちに思いをはせながら、ここで描かれない、誰でもない「自分」とその個性的な人生を感じ。
 自分自身も、今までの人生も愛おしくなる。

 ……悪くないのかもなあ私。


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かわせみ かせみ
読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。