『支配の構造』(SBクリエイティブ)刊行記念 大澤真幸×堤未果トークイベント「徹底討論!メディアの嘘と真実 今こそ本気で日本のジャーナリズムについて考えよう」@代官山 蔦屋書店(2019.8.31)
NHKの番組『100分de名著』の特別編『100分deメディア論』は反響が大きく、100分の長時間ながら再放送を繰り返している。
番組の続編ともいうべき、書籍『支配の構造』の刊行記念イベントが開催された。印象的だったTweetをもとに紹介する。
なお、内容が多岐にわたり、かつ高速だったため、メモは追いつけず。本投稿はわたしの記憶に基づくもので、間違いがあればわたしの記憶力不足が原因。予めお詫びしておきます。
「大衆を操作せよ!」にしびれる…。
大澤真幸さんと堤未果さんの対談
登壇されたのは、同書の著者4名のうち、社会学者の大澤真幸さんとジャーナリストとの堤未果さんのおふたり。
終始ユーモアのたえない大澤真幸さんと、怒涛のツッコミを繰り出す堤未果さん。すばらしいトークが繰り広げられた。
第1部は大澤さんと堤さんのトークセッション。
第2部は参加者からの質問に答える(!)会場クロストーク。
書籍の出版の経緯から。
トークセッション:1.なぜ今、本書を出すべきと考えたか。
現在、メディアとどう付き合っていいかわからなくなっている。番組『100分deメディア論』への反響が現している。
これだけメディアの変化が激しくなっていると、メディア論の原点に戻り、メディアとは何なのか?を問い直すのが本書の狙いだという。
大澤さんは、メディアの前提として人間の特性である「信じやすい」傾向をあげた。
相手を信じられないチンパンジーに対して、ひとを信じて伝えることで発展した人間。メディアへの不信感の高まりは、今後の人間社会にどう影響するのだろうか。
トークセッション2:注目すべきメディアをめぐる時事的な話題
映画『ペンタゴン・ペーパーズ』や日本映画『新聞記者』について。
現状の問題をそのままテーマにできないのが残念。
タイタニックのたとえが辛辣だった。沈むのがわかっていても逃げ出せない。水に飛び込んだら冷たそうだから、沈むまで待つだけ。隣に乗り移る船もない。
トークセッション3:私たちは情報の受け手としていかにメディアと付き合っていけばよいか
この問いが最大のテーマ。
エレベーターボタンのボタンのたとえもまた絶妙。エレベーターボタンには各階とは別に「開」と「閉」のボタンがある。「閉」が圧倒的に押される。本来いずれかの各階を押せば、扉は閉まるはずであり、「閉」には意味がない。
押したくてたまらないひとが、押しても押さなくても大差ないから押したと。郵政民営化が盛り上がったのはそういう仕組みなのか。
休憩が入り、参加者から質問を集めて、次のクロストークの準備へ。
参加者の質問に答えるクロストーク
質問:事実と空気
なぜ、日本人は事実より空気が大切なのか。
人間には空気に合わせる傾向がある。が、ほとんの国には歴史的な失敗から学んだ防御策があるという。
一神教のもとでは、ひとは完璧ではない=全員一致はない
失敗を検証して責任をたらせる国アメリカが、メディアへの不信感のために、メディアに叩かれていたトランプ大統領が得票したという皮肉。
これまでの日本の教育では、先生がなにかの答えを求めているような場合、空気を読んでしまうと(例えば、読書感想文は典型かもしれない)。
ただし、外国人が増えてくれば、変わらざるを得ない。
続いて大学の教授会の話に…。
終了時間が決まらず、空気が定まるまで終わらないうえに、何が決まったかわからないとは…。
なぜ、決めるのに時間がかかるのか?多数決では反対者が出る可能性があり、全員一致の状態が作れないからと。
なかなか意見を言わない日本人、言いたいことを言えないひとはバカ扱いされる海外。
日本人と外国の違いがどう将来に影響するだろうか。
質問;メディアの危機感
映画『ペンタゴン・ペーパーズ』の時代のような中間層は、日米とも希薄に…。
大澤さんは国家の弾圧について。
SNSで現象を見られるように、誰かを傷つけると叩かれる。しかしひとがなにかすれば、ひとは傷つけてします。
最後に(謝辞)
残念ながらクロストークの途中で退席したのでここまで。
大澤さん、堤さん、充実したセッションをありがとうございました。落ち着いた空間の代官山蔦屋書店にも感謝。
全体の流れはTweetがまとめられたtogetterをご覧ください。
おまけ(堤未果さんの知られざる一面…)
このイラストは自画像なんだろうか…(サインしてもらえばよかった…)。
参考資料
トークイベントに参加するにあたり、目を通したもの(メディア論といわれても、ピンとこなかったので)
映画『ペンタゴン・ペーパーズ』
ベトナム戦争を巡る極秘文書を入手した、ワシントン・ポストは…。
ペンタゴン・ペーパーズが面白いとFacebookにコメントしたら、メディア勤務の友人から薦められたのが、次の海外ドラマ。
海外ドラマ『NEWSROOM』(Amazonプライムビデオ)
オバマ政権時代のニュース番組の舞台裏を描く。視聴率を求める広告主からの圧力、フェイクニュース、台頭するSNSなど、現代メディアの環境がドラマティックに。
別の友人から映画『新聞記者』をすすめられたが、まだ見ていない。
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