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8月10日 母とわたし

今週はなんだかバタバタとせわしなかった。仕事がそこそこ忙しかったのに加えて、朝からストーマ装具のトラブルがあったり、吐き気やだるさが限界に達して就業開始が遅れたりと、うーん、無理〜!としか言いようのないことばかりが起きた。自分の努力でなんとかできるならしたいけれど、そもそも何をどう努力すればいいのかわからないし、正解のない事柄をあれこれ調べるのも面倒なので、「しゃーない」という結論が導き出された。何をしたってダメなときはダメだし、ダメなのはわたしのせいじゃなくて、抗がん剤の製薬会社やストーマ装具メーカーのせいだ(唐突な矛先の転向)。

さて、弊社は今日からお盆休み。明日からは、田舎に住む母がやって来る。母と会うのは半年ぶりで、つまり、3ヶ月前に癌がわかってからはまだ一度も会っていない。

このnoteを継続して読んでくださっている方はおそらくよくご存知の通り、わたしは、基本的にアホほどオープンマインドだ。しかし母に対しては、実は、癌のステージの詳細すら伝えていない。なんだったら、癌の診断を受けた後も「なんか腸に穴が空いた」で数日通していたくらいだ(さすがに無理があったので言った)。ステージに関しては、腸に穴が空いている以上3か4が確定していたため、後日、3だったとは伝えている。しかし、Ⅲ cとは伝えていない。無論、癌のタイプや5年後生存率の話などは一切していないし、今後も話す気はまったくない。言うメリットが感じられない。え、なんかある?全然わからないんだけど。

癌をしばらく隠していたのは意味がわからなさすぎて、我ながらちょっとおもしろいけれど、とにかく、わたしは自分の葛藤を母には見せたいとは微塵も思わない。癌になった時点で十分すぎるほど心配をかけているので、これ以上余計なことは考えずに、勝手に元気でいてほしいので。

わたしは東京での気ままな一人暮らしを愛していて、地元に戻ろうとはこれっぽっちも思っていない。母のことは好きだけれど、一緒に過ごすのは年に数日で十分だ。癌になってから、母とはラインやり取りの頻度が増えた。増やすようにした。基本的にはどうでもいい話ばかりをしているが、別にそれでいいと思っている。定期的に生存確認ができて、互いが「まあなんか元気そうだな」と認識できれば、親子なんてそれでいいのではないだろうか。

母は、東京滞在のうち2泊はわたしの弟(関東にいる)の家に、もう2泊はわたしの家に泊まる予定だが、わたしの家にはお客様用布団がないため、おのずとダブルベッドで一緒に寝ることになる。ダブルとはいえ親子で同じベッドは嫌だなぁと思っているし、おそらく、母も母でそう思っているはずだ。

わたしにできる親孝行は、母に治療費を返して、あと数回海外へ連れて行って、ボケたら老人ホームにぶち込んで、そして何より、母より元気に長生きすることだ。それさえできれば、過程なんてどうでもいい。そして、その実現のために日々努力するのは母ではなくわたしなので、わたしはやっぱり、母に病状を詳しく知らせたいとは思わない。結果がすべてだ。頑張っていることなんて、とっくにわかってもらえている。


母、めっちゃ煽ってくる

トップ画像は、一昨年に母と行ったパリのルーブル美術館にて。たしかこの日はケンカをしてほぼ別行動をしていた。母とは1週間も一緒に過ごすと、だいたい何かしらの諍いが起こる。似たもの同士は、あまり近くにいないほうがいいと思う。さて今回のお盆はどうなることやら……。


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かわむらまみ
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