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源氏物語を読みたい80代母のために 27(源氏物語アカデミーレポ⑧)

 さあ最終日!
 (今回も写真はないので、大瀧神社里宮の屋根裏側をどぞ)
 朝から二コマだが、昨日よりは遅い時間(9時開始)なので余裕のよっちゃんよ!
 飲み物&甘い物持参でホテルクラウンヒルズ武生へGO。
 原文購読「源氏物語に見る賀茂・住吉信仰」
 ~「葵」巻の賀茂祭・「若菜下」巻の住吉参詣場面を読む~ 山本淳子氏

 山本氏はTV番組でもよくお見かけする、現・京都先端科学大学人文学部教授。例によって予習本はこちら↓

 源氏物語ハイライト集(懇切丁寧な解説付き)といった感じでわかりやすく読みやすい。歴史番組等で拝見した際のイメージそのままでした。
 で、講義ですが、「原文購読」!レジメを見てまず懐かしさにうち震えた。この「新編日本古典文学全集『源氏物語』」(小学館)の三段組の形式、はるか昔に大学の講義で使ってたのと同じ!上に解説、真ん中に原文、下に訳文が載ってるやつね。
 以下、レジメ&書き殴りのメモより:
1)賀茂神社とは上下二社の総称。上賀茂神社=賀茂別雷神社、下鴨神社=賀茂御祖神社。元は地方豪族(渡来人)の産土神であったが7世紀以降地方大社へと発展、上賀茂神社となる。奈良中期、その分社が「下鴨神社」に。810年より斎院を設ける。
〇遠い伊勢とは違い、平安京郊外の賀茂斎院はお洒落な文学サロンといった感じ。
〇この賀茂斎院の御禊の日、六条御息所の乗った牛車が左大臣家の家来たちに罵倒され、無理やり追いやられる「車争い」が起こった。この日に「設定」したのには意味がある。行列は一条大路を東進して戻って来るだけなので、物見客がひとところに集中、車と車が鉢合わせになる確率も高い。
〇「年中行事絵巻」(平安末期)の「賀茂祭」によれば、
・授乳しながら見物する母親
・荒れる馬
・桟敷席に座る僧や稚児
・簾から袖口が零れ出ている女車
・交通整理の僧が市女笠姿の女たちを追いやっている
・築地の上に昇って見物する庶民
・小さい子を抱えておしっこさせている親
 行列本体のみならず、華やかな物見車もまた見物の対象となっていた。そんな中勃発した車争いは「正妻と妾の争い」という図式も加わって、衆人環視の下一大エンターテイメントと化してしまった。
2)「若菜下」での住吉参詣
〇光源氏46歳、娘の明石女御が産んだ皇子が春宮となり、一族の繁栄が最高潮に達したタイミングでの住吉参詣。
〇住吉の神は「何かを起こして、その解決のため謎をかけ、人を試す」神である。願掛け→捧げもの→願ほどきという流れ。
〇源氏物語を「天皇になれない皇子の大出世物語」として考えると、以下の二通りがある
・帝の后である藤壺と密通してその子が帝となる→出生の秘密を知った息子が源氏に譲位しようとするが固辞された→光源氏、准太上天皇に(裏ルート)
・光源氏の娘が国母となり、今上帝の外祖父となる(表ルート)
 藤原氏の繁栄そのままにも見える。
〇光源氏の望みが「天皇になること」だと仮定すれば、住吉参詣は明石一族だけではなく光源氏自身の願ほどきでもあった可能性。
 などなど、スクリーンで実際に絵を映し出しながら、レジメ通りほぼ過不足なく一時間半、ピタリと終了。いやお見事でした。面白かった。
 残り、あと一コマ。
<つづく>

「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。