大河「光る君へ」(8)招かれざる者
三連休は寒かったのでお家におこもりしてバスケやらサッカーやら卓球やら観てました。母は仕事が忙しいらしい。有難やそしてエライなあ(←)。
※「源氏物語を読みたい80代母」のための企画です。最終回までこの形式で続ける所存。思いっきりネタバレ全開なのでご注意くださいまし。
お喋り役の平安女房ズは以下:
右近(右)、侍従(侍)、王命婦(王)、少納言(少)
こんにちは、少納言です。えーと、どこからお話すれば……あっそうでしたわね、推しを語れという企画で。はい、すこし緊張してしまって。藤原道兼さまの出番が今回とても多くて、ほぼ主役のような扱いでしたものね。えっそれは言い過ぎ……申し訳ありません、私にはそうとしか思えないくらいインパクトがございましたの、ええ。
前回の予告では、すわ道兼さままひろちゃんに懸想?!まさかの恋のライバル?!なんて呑気な予想をしておりましたが、まったくの的外れもいいところでした。まひろちゃん家でのあのシーン、胸がつぶれる思いでしたわ……。
正直申しますと私、道兼さまが為時さまにお声がけするあたりからすっかり、あの打ちひしがれた、悲痛なお顔に撃ち抜かれておりました。帝のお心をも掴んだ正直で心優しい為時さまですもの、道兼さまもきっと感じるところがおありなのだと……突然お家にまでいらしたのもきっと、どなたかに救いを求めるお心の叫び故かと……すっかり道兼さまの、傷ついた小鳥のような一面ばかりに目がいっておりました。
でも違いますわね。あのご訪問の目的は……
藤原為時は利用できるか否か
の見定めに過ぎなかった。そもそも下々の者たちを「虫けら」と呼んで憚らなかった道兼さまにございます。ご自分があやめた相手がどこの誰だったかをご存じでも……素知らぬ顔であのような問いかけを行うなど、造作もないことだったでしょう。ましてどなたかのご指示であったなら……いえ、これは私の想像にすぎませんが。
それでも私には感じられるのです。濃く深い闇のその奥の奥には、まっさらな情愛に溢れた、素の道兼さまがいらっしゃるのだと。だからこそどんなに酷い、非情な振舞いをなさっても憎み切れない。どうしても目を離せませんの。最後の最後まで見届けて差し上げたい。そんな思いを強くした今回でした。以上になります。
王命婦です。なるほど、今回はこういう趣向ね。では私の推しは「兼家さま」ってことでいいのかしら。
少納言さんの想像は当たってると思う。道兼さまの一連の行動は全部、兼家さまが背後にいるとみて間違いない。陣定の席で帝の案に反対して倒れたところからスタートよ。安倍晴明による加持祈祷、寄坐に憑いた悪霊は「忯子」で「子供もろとも殺された恨み」。いかにももっともらしい、やっと落ち着いてきた花山帝の心を再びかき乱すには十分すぎるネタ。つまり兼家さまも安倍晴明もグルでひと芝居打った、が私の意見。右大臣不在の混乱の中、帝の案は有耶無耶に。道兼さまを帝に接近させ、関心を引き、こいつは味方だと思わせる。何のために?そりゃあ……(自粛)。
あの場で、寄坐が道長くんを襲ったというのも中々ね。あらかじめ兼家さまが指示したのか、晴明のアドリブなのかはわからないけど、どっちにせよ三男坊が一番メンタル強くて胆力があると見てるのよ。道隆さまだと本気でビビり散らかしそうだし、道兼さまだと本気でころしちゃいそうだもの(ごめんね少納言さん)。いったい、誰の味方なのかしらね晴明は。兼家さまの意図を踏まえての行動をとりながらも、決して屈服してはいない。時折見せるイケズな逸脱と不敵な表情には痺れるわ。ここに至って推しを増やすべきか鞍替えするべきか、迷いが出てるところよ私的には。
侍「へーへーへー、少納言さんも王命婦さんもスゴーイ!推しへの愛♡は生きる糧よねわっかるう。さーて次は右近ちゃんか。……アレ?右近ちゃん?エ?寝てんの?!」
右「……直秀くんの『一緒に行く?』『……行かねえよな』にキュン死なう……」
侍「ヤダァ右近ちゃんたら!今時の若者は『なう』とか使わないからぁ」
右「だまらっしゃい。あの完全少女漫画の・何かのフラグ立ちまくりの展開にキュンキュンしない女子はいないわよ年齢問わず。赤染衛門姐さんの言う通り、心の内は私だけのもの……!」
侍「もう年誤魔化す気ゼロー!アタシたち永遠の二十代デショ?」
右「なんとでも言って。私はもう、捕まった直秀くんがどうなっちゃうのー?!で頭がいっぱいだから。史実にないフィクションキャラなもんで全然先が読めないんだもん。そういう侍従ちゃんこそ来週どうすんのよ。予告編だけでキュン死しそうじゃない」
侍「イヤアアアア!それを言わないでええええ!待ちきれないいいいい!」
右「結局いつものノリね。ではではまた来週ー!」
いやはや今回も驚きの連続でした。道兼には騙されましたよすっかり。よくよく考えたらあの唐突な為時パパへのすり寄り&折檻?の傷アピール&お家突撃、怪しさ満々ですよね。従者まで口封じに始末した兼家パッパが、被害者の身元を調べていないはずがない。だからこそ無官の為時に仕事を与えたんでしょうし。床に伏した兼家が道兼の前で目を開けた時の顔、ワルかったですね。怖いわー。
為時の家を訪問した道兼が、まるっきり自分が殺したとは知らないで母親のことを聞いたのか/全部知っててワザと聞いたのか、どちらにも取れますし、どちらでもヒエエエエってなりますね。いやー脚本上手い本当に上手い。
「籠の鳥は籠の中でしか生きられない」と言った母はもう亡い。まひろちゃんの揺れる思いはどこに行きつくのでしょう。倫子さまは完全に道長ラブだし、道長お前どうすんねん(呼び捨て)。
そしてこれも書いておきたい。ドラマの終わりに流される紀行、今まで知ることのなかったレアな「令和に残る平安」を取り上げてて、毎回へーへーへー!の嵐です。今回の琵琶の糸もよかった。繭から生糸を取って作るんですね。ウチの母も生家で蚕を育ててたそうです。後年ひょんなことで入手した「まわた」を使って和紙の簾を作ったりしました。実家では毎年夏に下げてますが、風をはらんでふわーーーーっと舞う姿がなんともいえず美しいです(写真があったはずなんだけどない。また後日←ダメなやつ)。
まひろちゃんが越前に来た際には、同じように越前和紙も紹介されるのでしょうね。今から楽しみです♪
「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。