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「独裁者トランプ」の地政学

トランプの次期政権の外交戦略が共和党から政策綱領が出された。「アメリカ第1主義」の経済政策や移民対策の強化などトランプ前大統領の主張が色濃く反映されている。
 政策綱領は冒頭に「アメリカン・ファースト:コモンセンス(常識)へ戻る」と宣言した。トランプ前大統領が草案の一部を書いたといわれているが、トランプの外交政策はここにすべてが詰め込まれている。キーワードは「コモンセンス」にある。アメリカがイギリスから独立する際に、トマス・ペインが書いた「コモンセンス」は、なぜアメリカが独立戦争をするのかを説いたもの。今回はアメリカそして世界を「不安」と「分断」に陥れたバイデン政権からの政権奪取をといたのである。 トランプは共和党大会での共和党候補受諾演説の冒頭で、半分のアメリカではなく「オール・アメリカ」からの支持ではなくては団結はできないと訴えた。
 トランプ個人にフィーチャリングするならば、ロナルド・レーガン政権の1980年代に不動産王として人生の絶好期を迎えた人物である。正に冷戦たけなわの時期であり、レーガンは宿敵ソ連を見事崩壊させアメリカは覇権を謳歌する。 世界の頂点にあった強いアメリカの時代に戻るのがトランプのイメージがあると考えられる。
そして、トランプは狙撃され紙一重で一命をとりとめた。その時トランプは「ボーン・アゲイン」(キリスト教で個人の罪が赦され、聖霊によって霊的に新たに生まれ変わる)を体現する。銃弾が右耳を貫通した直後に立ち上がり「拳をつきあげ暴力には屈しない」とい姿は常人ではできない。そのファイティングポーズにパニック状態の観客は歓声をあげて会場は異様な空気に包まれた。
「神に守られたトランプ」の「復活」(ボーン・アゲイン)であった。
暗殺未遂事件から初めて共和党大会で姿を見せたトランプは「神のご加護」という言葉を使い、会場は熱気に包まれた。
 トランプの世界観には「アメリカが築き上げた秩序」(ロバート・ケーガン)っという「秩序」(国際連合、国際法、WTO)の概念は全くない。アメリカ一国主義であり、現在は「無極化」(リチャード・ハス)の時代にありそこでアメリカ「一強」が生息する世界である。
 したがって、同盟関係は存在せず、敵味方はなく、「明日の敵は今日の見方」となる。トランプは来年1月に大統領にすれば、ロシアのプーチン大統領に電話をかけ、ウクライナ戦争を終結させる。また、北朝鮮の金正恩総書記にも電話をかけ米朝和解のポーズをとるー。このような光景が目に浮かぶ。そうなれば、中国の習近平国家主席にはどうするかー。軍事的にはヘッジ」(抑止)をして経済的には半導体等の一部制裁をのぞいて「協調」に向かうであろう。
 NATO諸国や同盟国に対しては「防衛費を分担しない国は守らない」と宣言し、是々非々で望であろう。日本には在日米軍へのホストネーションサポートの増額やさらなる武器購入を迫るであろう。
 「もしトラ」がトラになった場合、日本は誰が1月時点での総理となっていてトランプと対等に渡り合えるのかが問題である。でなければアメリカの独裁者トランプからの指示を受けるだけの日本が繰り返されることになる。

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