Dr.Takashi Kawakami

国際政治学者の川上高司です。このブログでは「地政学」の手法を用いて、サイバー、金融、人権、認知戦、中東情勢、米中対立などをプラトン立体的的分析から紐解きます。

Dr.Takashi Kawakami

国際政治学者の川上高司です。このブログでは「地政学」の手法を用いて、サイバー、金融、人権、認知戦、中東情勢、米中対立などをプラトン立体的的分析から紐解きます。

最近の記事

アメリカ大統領選挙とガザ戦争の終結

 アメリカ大統領選挙で「ガザ戦争の終結」の可能性がでてきた。  イスラム組織ハマスが昨年10月7日にイスラエルを攻撃し、戦争が始まった。その後、CNNの発表ではガザ地区の死傷者3万5034人、負傷者数は7万8755人。瓦礫に埋もれたままの遺体は推定約1万人に上るとされる。停戦合意にはなかなか達していないし、イスラエルのネタニアフ首相もハマス殲滅を主張する。しかし、イスラエルも戦争継続の危機に直面している。  ガザでの戦争は11カ月目に突入し、イスラエルとヒズボラ(レバノンのイ

    • 岸田、総裁選不出馬宣言の「深層」!

      岸田首相、8月14日のお盆の真っただ中に、自民党の総裁選不出馬を正式表明した。 「自民が変わるため私が身を引く」といった。 なぜ不出馬なのか、なぜこのタイミングかー。   第一に岸田総理は、「政治家の意地だ」と言った。岸田総理は、不出馬の記者会見で、「新生自民党を国民に示す。自由闊達な論戦が総裁選挙で必要で、自民党がかわることをしめすことが必要。その第一歩として岸田が身を引くことがもっともわかりやすい」と述べたあと、「政治と金。整理をして方向性を示せねばならない。政治家の意地

      • ハリス副大統領がイスラエル支援やめる!?―分断されるアメリカ―

         米民主党のハリス副大統領の国家安全保障顧問を務めるフィル・ゴードンは、ハリスは「米国のイスラエルに対する武器禁輸を支持しない」とXに投稿した。ゴードン顧問は「イランやイランの支援を受けたテロリスト集団から、イスラエルが自国を防衛できるようにすると副大統領は明言してきた」と投稿した。   この方針でハリスが大統領選挙を戦うのであれば大きな論争となるし、今後のトランプとのテレビ討論会ではこの点、激しい論議になるであろう。ゴードン「ハリスはイスラエルに対する武器禁輸を支持しない。

        • 日本が核を持つことは、世界にとっても望ましい」エマニュエル・トッドが語った“この国の平和を守る”

          ブリンケン国防長官とオースティン国防長官が来日し「2+2」が開催された。そこでは秘伝アジェンダの核シェアが淡々と締結された。日米のウクライナ戦争でアメリカとNATOに追随する日本をロシアが潜在敵国と定め日本海を中国の艦船とともに巡回威嚇をするようになり、とくに尖閣諸島にまでロシアの艦船が出没するようになったのが最近の情勢。さらにロシアの核の傘にはいった核武装国の北朝鮮も日本を「火の海にする」と威嚇する。今や日本は中国、ロシア、北朝鮮から核攻撃される可能性が高まっていろのである

          バイデン撤退後、ミッシェル・オバマ登場か!?―「もしトラ」の世界は目前だー

          ジョー・バイデン大統領が民主党の大統領候補からついに7月21日に撤退を決断した。バイデンはカマラ・ハリス副大統領を大統領候補に推す。バイデンの撤退はオバマ元大統領から引導を渡された時点でやむを得なくなっていたが、民主党に挽回の余地があるとすれば、オバマ元大統領の妻であるミッシェル氏が出馬することであろう。そして、ハリス氏と組ませる。ファースト・レディーを務めたミッシェルは、周囲からも国民からも非常に高い評価を受けていた。さらにオバマ元大統領の人気も依然として高いも のがある。

          バイデン撤退後、ミッシェル・オバマ登場か!?―「もしトラ」の世界は目前だー

          「独裁者トランプ」の地政学

          トランプの次期政権の外交戦略が共和党から政策綱領が出された。「アメリカ第1主義」の経済政策や移民対策の強化などトランプ前大統領の主張が色濃く反映されている。  政策綱領は冒頭に「アメリカン・ファースト:コモンセンス(常識)へ戻る」と宣言した。トランプ前大統領が草案の一部を書いたといわれているが、トランプの外交政策はここにすべてが詰め込まれている。キーワードは「コモンセンス」にある。アメリカがイギリスから独立する際に、トマス・ペインが書いた「コモンセンス」は、なぜアメリカが独立

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          今、共和党大会は熱気にあふれ「お祭り会場」になっている―副大統領候補にバンス上院議員(39歳)を選出!― 川上高司(日本外交政策学会理事長)

          7月15日に開催した共和党大会の会場は熱気にあふれ「お祭り会場」になっている。奇跡的に銃弾から逃れたトランプは神の加護が強いと伝説的なムードにつつまれる。こうなるとアメリカの世論は一気に流れる。 共和党大会では、ドナルド・トランプ前大統領(78)が正式に共和党の大統領候補に指名された。   共和党の政策としてトランプの主張が色濃く反映されエネルギー生産規制の撤廃や南部国境の「封鎖」などがかかげられた。また、トランプの政策が追い風になるとの期待から、建設機械大手キャタピラーや石

          今、共和党大会は熱気にあふれ「お祭り会場」になっている―副大統領候補にバンス上院議員(39歳)を選出!― 川上高司(日本外交政策学会理事長)

          「もしトラ」が「トラ」になった瞬間ーアメリカン・ヒーローの再登場 川上高司(国際政治学者)

          トランプは撃たれても天に拳を振り上げ強さをみせた。その場では悲鳴をあげてパニック状態の支持者は「USA」コールで応えて異常な熱気につつまれた!アメリカにヒーローが復活した瞬間だった。   アメリカでは過去にも大統領やその候補者らを狙った暗殺や未遂事件がたびたび起きている。実際にアメリカではこれまでの45人の大統領のうちエイブラハム・リンカーン(1865年)、ジェームズ・ガーフィールド(1881年)、ウイリアム・マッキンレー(1901年)、ジョン・F・ケネディ(1963年)の4

          「もしトラ」が「トラ」になった瞬間ーアメリカン・ヒーローの再登場 川上高司(国際政治学者)

          日常化するハッカーテロ―親パレスチナのハッカー、チャットGPT攻撃―

          「アノミマススーダン」が「チャットGPT」を開発した米新興企業オープンAIにサイバー攻撃を仕掛け、「チャットGPT」サービスに7月8日に障害が出た。このDDoS攻撃では3万5000台以上のパソコンやサーバーを乗っ取り、「オープンAI」のサイトに1秒間で最大1億回のデータ送信した。   「アノニマススーダン」はで、親パレスチナを名乗るアフリカ北東部スーダンのハッカー集団(メンバー全員がスーダン出身者)であり、攻撃の理由は、は「チャットGPT」がパレスチナ問題に偏見があり、親パレ

          日常化するハッカーテロ―親パレスチナのハッカー、チャットGPT攻撃―

          独裁者同盟の暗躍―中露朝イラン―

          ウクライナ戦争で「独裁者同盟」が成立しようとしている。 バイデン政権は反民主主義国の権威主義国を敵国とする、「白黒をつける安全保障政策」を展開した。その結果、ロシアはイラン・北朝鮮・中国と急速に接近し、機密技術・武器を共有する軍事協力関係が構築された。そこでの共同生産協定や技術移転、作業員の供給が行われている。米情報筋の話として、こうした関係を通じてロシアの長期的な戦闘能力を向上させており、イラン・北朝鮮・中国の戦闘能力も向上させている。  プーチン大統領は、金正恩朝鮮労

          独裁者同盟の暗躍―中露朝イラン―

          「帝国主義の時代」に日本は餌食になる―ユヴァル・ハラリの予言から読み解く―川上高司(Dr.Takashi Kawakami)

          イスラエルのヘブライ大学の歴史学教授のユヴァル・ハラリが「ザ・エコノミスト」で、ロシアがウクライナで勝利し帝国主義の時代がやってくると予言している。ユヴァル・ノア・ハラリ氏は歴史家・思想家で、ベストセラー本『サピエンス全史』『ホモ・デウス』のほか、子ども向け『人類の物語』の著者である。   「帝国主義」は、ローマやイギリス、帝政ロシアが代表例にあげられるが、他国を征服して自国領土に組み入れた強国に対して使われてきた。しかし、第2次大戦後、紛争は絶えなかったが、国際的に認知され

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          突出するウクライナー「新しい戦争」兵器の開発競争の地 川上高司(Dr.Takashi Kawakami)

          ロシアとの長引く戦争は、ウクライナを軍事技術開発の最先端の地にしている。ロシアとの軍事技術競争で、ウクライナでは国営ベンチャーキャピタルの資金援助を受けた民間技術開発が活況化している。ウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル転換相は「現在の戦争は技術を巡るものだ。技術革新や戦場での変化は、日々起きている」と語っている。  フェドロフは、ウクライナでロシアとの「デジタル戦」を指揮する。「技術は戦車やミサイルより強い」を信念に、SNS(交流サイト)や暗号資産(仮想通貨)を駆使して全

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          「もしトラ」から「トラ」へ移行するアメリカ―トランプに群がり始めた実力者たちー 川上高司(Dr. Takashi Kawakami)

           大統領選挙討論会でバイデン大統領はほぼ失墜した。これを契機にアメリカのJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)やバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)のブライアン・モイニハンCEOなど金融界の大物たちや政界のリーダー達や実力者がこぞってトランプの周りに続々と集まり始めている。   現時点からトランプ政権への移行がすでにはじまったかのようである。バイデン現大統領への不満、今の時点からトランプ次期政権の政策課題に食い込んでおきたいという狙いだ。2021年

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          次期大統領選挙、トランプ勝利が現実味!

          トランプ対バイデンのテレビ討論会(6月28日CNN主催)るで、トランプの勝利が決定的となった。討論会が終わった瞬間、民主党では「絶望」「バイデンおろし」の声が噴出した。また、共和党内ではこれまでトランプを担ぐのをためらっていた議員たちが、こぞってトランプ支持に回りだした。しかも、バイデンに劣っていた選挙資金もここにきてトランプへの献金が断トツに増え始めた。   いよいよ「もしトラ」が本物の「トラ」となって帰ってくる準備を世界中ではスタートしているであろう。トランプ復活で何がか

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          戦後最悪の状況、「露朝同盟」の締結 ―日本には核武装しか選択肢はない!―日本外交政策学会理事長 川上高司

           北朝鮮を訪問したプーチン大統領は金正恩と「露朝同盟」を締結した。日本にとっては戦後最大の危機である。これまで北朝鮮は核武装をなしとげたのみならず、核戦力を充実させアメリカにまで到達するミサイルを持つに至っていた。この段階で北朝鮮の核弾頭の数はストックホルム国際平和研究所によれば50基、1年間で20基増ということである。したがってアメリカやNATOに対する最小限抑止は獲得していた。さらに、これにロシアの拡大抑止を加えることにより完全に核保有国として成立したことになる。  北朝

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          キューバ危機の再来か!?

          ロシアの限定核戦争の可能性が一段と高まった。ロシアの核搭載可能な原子力潜水艦がキューバに寄港した。キューバからフロリダまでの距離は150kmしかなく米国の目と鼻の先にある。冷戦時期のキューバ危機の再来を彷彿されるような状況である。理由は、アメリカがウクライナに供給する武器をロシア国内(クリミア含む)に使用していいと許可したことと、G7で凍結したロシア資産の利子をウクライナへ供与するとしたことだ。

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