研ぎ澄まされた視覚と"存在"。
『存在のすべてを』
(作:塩田武士)
という小説を読みました。
描かれる写実絵画。
色や線を足す前に、対象を見つめる。
長い時間。
一心に。食い入るように。
それが出来るのは、対象への何か思いがある、もしくは思いが持てるからだろう。
その上で、見えたままに、少しずつ繊細な筆致が加えられる。
生きる上でも、雑に人生を描かず、見えるものや聞こえるもの、触れられるもの、周りの空気をもっともっと感じて、一瞬一瞬を大切にしたい。
そう思わされた。
最後の数ページ。
その言葉ではもったいないほどの「愛」が、僕を優しく包んでくれた。優しすぎて、涙が溢れた。
読後、本を抱きしめずにはいられなかった。
タイトルに込められたもの。
それに気付いた時、まるで太陽の恵みのように、すべてのものに"愛おしさ"が降り注がれた。
追記
帯に感想を書いている小橋めぐみさんは、事務所の先輩。とてもお世話になっている先輩。
美しく、それでいて素直な言葉遣い。
本当に読書が好きで、本を愛していることが感じられます。
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