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生まれてきたことにもう耐えられない

「どうしてそんなに優しい頑張り屋のあなたはいつも自信無さ気に影に隠れてしまうの?」

「どうしてそんなに人の足を引っ張って傷つけながら利用してでも自分をよく見せようとするの?」

相反するものたちがこの世を這っている


入院中、承認欲求や自信について考えることが多かった。退院した今もだ。

強気な人々に淘汰されて居場所を失う人を見ていると悲しくて耐えられない。

そういった人のことをよく見ていると居場所を失うというよりは、譲ってしまっているのだ。
聡明で、気遣いができるから会話も立ち振る舞いも完璧だ。そうして、皆おろしたてのタオルケットのような柔らかさと優しさを共通して持っていた。

仕事や勉強に興味を持って楽しみながら取り組める。
感受性が豊かだから興味があるものが多くて、学業や仕事に活かしている人がたくさんいた。
卒業した大学の名前を聞いてびっくりしたり、器用すぎて専門的な仕事を掛け持ちしている人もいたり趣味を極めている人は趣味の範疇を超えていて、話を聞いていると凄く遠くにいる人にも感じた。けれど、皆、謙虚で心底優しく話してくれるので持っているものが違えど、深いところで分かり合えた。だから、毎日時間がたくさんあったのでいつまでも会話に花を咲かせていた。

好きなものを職業にしていた人は見て取れる雰囲気が出ていたので、働いていた職種を当てたこともある。
そうして、その職種を活かした知識も教えてくれたこともあって嬉しかった。専門的なものに特化しているのに少しも鼻にかけない感じなので人間性の美しさにも驚いた。

しかし、稀に怖い人もいる。そういった人への接し方も含めて集団の中で話して、見ていると、病棟の外にいる怖い人の方がカウンセリングを受けるべきではないかと思うくらいに揃いに揃って人格者が入院していたので、異星人同士が交流しているのが地球だと気がついた。
そうして、仮に病棟にいるのがA星人だとしたら A星人が何故入院することになったのか分かってきたのだ。

最初は、病院側がB星人でA星人を異常者扱いして、心が弱い属性を悪とみなしている。自傷行為や自殺行為は罪だと責め立てられているのかと感じていた。
だって、最初に入れられた部屋が独房とあまり変わらない作りだったから。

しかし、違う。
A.B星人が交わるこの地球で起きている目を背けられている事実がこの病棟で明らかになった。

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