その悪役の幕末博徒の一匹の末裔(浪曲)
「虎造のそれには、幕末のヒールの博徒として何人かの名前が挙がっている。以前書いたように、次郎長が善なのは浪曲の中のフィクション、現実にはさほど善人でも立派なやつでもない」の続き。
広沢虎造『清水次郎長伝 お蝶の焼香場』にて、幕末のほぼ大御所博徒どもが全員集まる。ただ、来ないやつ来られないやつがいる。次郎長に不義理をやらかしたクズども(まあいろいろフィクションもある話も盛られているので半分ぐらい差っ引いて口演をお聞きになるといい)。
そこにあがるのが保下田久六(こいつはまあ次郎長伝で首をはねられる。森の石松がサッカーボールのようにその首を蹴り転がす。勢いあまって足空振りしてすっころぶ場面もある)と、もう一人が常滑兵太郎(虎造の発音だとトコナメショウタロウに聞こえる。とこなめひょうたろう、がただしい)、以下はその一家の顛末なのだけど、私の文章で細かく書くまでもない。すでにまとめられている。
「常滑一家(とこなめいっか)は愛知県知多郡武豊町ヒジリ田133-6 知多総合企画に本部を置き、名古屋市中川区荒江町に本家を置く、六代目山口組の四次団体。上部団体は三代目弘道会・三代目髙山組。」
所属する暴力団の組長に対し、殴る蹴るなどの暴行を加えたとして六代目山口組の三次団体「常滑一家」の若頭・中沢秀也容疑者(53)が逮捕された。(リンク先元記事)
「7月14日、中沢若頭と磯部伸治総長(73)は車で名鉄常滑駅を訪れていた。車を降りるや、中沢若頭は磯部総長の頭を平手で殴り、右足付近を蹴り、組長がかぶっていた帽子をたたき落としたりするなどの暴行を加えだした。中澤若頭は『お前またヘタ打ちしやがって、バカ野郎』などとどなりつけていて、目撃者が警察に通報。その後、中沢若頭は磯部総長を放置して現場から逃走した。警察の聴取に対し、磯部総長は殴られたことは認めたものの被害届を提出せず。しかし、防犯カメラに暴行の様子が映っていたことで逮捕になった」
これで幕末から続く常滑兵太郎の筋は終了となるんだろう。お粗末な終わり方だ。まあこのオマワリの、暴力団相手ならどんなことしてもいい連中だ的逮捕には私はとても憤ってるが、私は暴力団がオマワリの次に嫌いなので、やっぱりここも私にとっては重盛の進退だなあと思う。
冒頭の語りの部分が結構見事。武蔵屋周太郎(森の石松が大きくなったようなバカとたまに揶揄される)の台詞。
「(葬儀に)来なくちゃならねえ奴が一人二人と言いてえが、恩義を知らなきゃ犬畜生、一匹二匹で結構だ、二匹来ねえがどういうわけだ!」
この一匹が常滑兵太郎。