8月31日 読書会報告
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
2024年8月31日(土)の朝に開催した「東京読書倶楽部」読書会の報告です!
この日はリピーター様が2名、新規の方が2名の計5名で朝活×読書会。台風予報のため中止も考えたが、運良く多少雨に打たれた程度。
読み手(自分であれ、他人であれ)によって様々な解釈ができる作品は、時間・時代を経ても長く読まれるのかもしれません。
いずれにせよ、自分がその物語を読んだときの感情・感想は大切にしたい。
紹介して頂いた本
佐藤友則/島田潤一郎「本屋で待つ」夏葉社
広島県の片田舎で書店を営む両親のもとで育った佐藤氏。赤字の支店の経営を任された彼は、今では当たり前の「書店の複合化」を2000年初頭にはじめ、店舗運営について非常に考え抜いて黒字化を達成させる。
それが前半の「ゆっくり大丈夫になる」話。後半では、不登校の学生をアルバイトとして雇うのだが、なかなか定着させることができずにいた。
佐藤氏自身、店舗運営やPDCAを回すなどの、積極的に押していくことは得意だった。しかし、人を定着させるには自ら引くことも大事だと気づき、それが「本屋で待つ」話。
人生や人間関係というものは、押し引きというバランス感覚が大切なんだと。自費出版であるのが勿体ないくらい、素晴らしい本に出会いました(だからみんなも本を書こうとも)。
宮部みゆき「ソロモンの偽証」新潮社
クリスマスイブの夜中 男子中学生の飛び降り自殺事件が起こる。容疑者として挙がったのは、素行不良の同級生。いじめの関係性を疑っている。
しかし、名門校であったために、学校側はいじめの関係性を否定。だがその時の告発文がどこからかリークされたのをきっかけに、発起人のクラスメイトによって学級裁判を行うことになる。
だがその弁護人に名乗り出たのは、亡くなった男子中学生の友人。彼の友人が被疑者を庇う立場にいるのは、一体どんな関係性なのだろうか…。
新潮社の文庫本で全6巻。流石に読み終えるまでに時間はかかったが、物語の展開に引き込まる。
安部公房「砂の女」新潮社
とある村まで昆虫採集にやってきた男は、女が住む砂に埋もれた部屋に閉じ込められてしまう。砂を掻き出さないことには、脱出もできないどころか、命の危険もあって…。
毎日砂を掻き出さねばならない状態を、物語では砂で表現しているが、砂をカオスのメタファーだとすると、それは現実社会でも同じだと思われる。
社会であれ人間の身体であれ、枠がないことには、秩序を保つことができない。その枠を取っ払うと、どうなってしまうのだろうか。
最近「箱男」が映画化されているが、安部公房の作品では、アイデンティティーを消失していく物語が多いと思われる。個とはなにか、考えさせられますね。
夢野久作「瓶詰の地獄」KADOKAWA 他
とある孤島に取り残された兄妹。その孤島から小瓶に入った手紙が3通届く。1通目にあるのは「助けが来たにも関わらず、死を選ぶこと」への懺悔が記されている。
2通目は「兄妹が孤島について10年ほど経った近況報告」として書かれたであろう手紙。3通目は「孤島にたどり着いたばかりで救難信号」としての手紙。
つまり、読者は時系列としては逆の順番で読むことになるのだが、これがまたミスリードを誘うようでもあって、でも改めて読むと、この順番で読むのが一番正しいのでは?とも思わなくもない気がする。
最初に読んだ時は、情景が思い浮かぶような素敵な文体に惹かれる。数年経って改めて読み返したのだが、禁忌を犯した兄妹の物語だったのではと、深く考えるようになった。
解釈としては後者のほうが「一般的」らしいけれども、最初に読んだときの感想も、私にとっては大切なものであり、どう読んでも(捉えても)きっと正解なんだろうなと。
2024年9月の読書会スケジュール
9月14日(土) 10:00~12:00
朝活×読書会 → 満員御礼!!!
9月14日(土) 13:00~17:00
文学×ボードゲーム会
9月21日(土) 14:00~17:00
散策×読書会
9月28日(土) 19:00~22:00
飲み有り読書会 BOOK&BOOZE!
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・注意事項
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