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【岩手県盛岡】竹細工を体験して「民藝」を身近に感じる。しかも気軽に

岩手県の「盛岡手づくり村」で、伝統工芸の「すず竹細工」を体験してきました。まったくの素人でも気軽にできるので、かなりおすすめです。今年6月に見た「民藝 MINGEI」展で興味を持った「すず竹細工」が、一気に身近なものとして感じられました。

まずこのペン立てをご覧ください。

ペン立て、です

どうなんでしょう。やっぱり素人が作ったって分かりますかね。全体的にゆがんでます。隙間も多いです。私が作りました。わずか1時間半で! ちゃんとペン立てとして使っております。

小岩井農場の近くにある「盛岡手づくり村」にある「しばた工芸」で体験させていただきました。盛岡駅から車で20分ぐらいの場所です。7月下旬に盛岡に行った際、空き時間ができたので突然思い立ち、2時間ぐらい前に電話予約して訪問しました。

職人がつきっきりで優しく教えてくれるので安心です。実は土台の板の部分と、すず竹で編んだ3段目ぐらいまでは既に編んだ状態で準備されているので、あとはどんどん竹ひごを編んでいくだけです。竹ひごも1メートルぐらいの長さにちゃんと切ってあるのが用意されていて、至れり尽くせりです。板の間の作業場であぐらをかいて、竹ひごを濡らしながら作業を進めます。

どんどん竹ひごを巻いていく

すれ違いで体験を終えて出てきた家族連れのお子さんが同じペン立てを上手に完成させていたので「楽勝じゃん」と思ったのですが、やってみるとけっこう難しい。交互に規則的に編んでいくのですが、職人さんとおしゃべりしながらやっていると、互い違いになるべきところが揃っちゃったりします。職人さんが目ざとく「そこ、間違えてますよ」と指摘してくれます。3回ぐらい言われた。1周分をほどいて編み直しです。集中力が必要。だんだん無口になってきます。このあたりから職人さんのことを勝手に師匠と呼びたくなります。適当に編んでいると縦の竹ひごが傾き、全体的にゆがんでしまいます。最も難しいのは最上部のへりの部分。ここは編み方が少し複雑なので、もう師匠が手取り足取りって感じです。

師匠の指導が入ります。ありがたいです

全工程を通じて言えるのは、素人の編み方は緩いということ。どうしても隙間ができてしまう。高さ10センチぐらいまで編んだところで師匠に見せると、ぎゅっと全体を締めてくれて、1センチぐらい高さが縮んじゃいました。「仕上げはおか〜あさん」と歌いたくなりました。

岩手の「すず竹細工」に興味を持ったのは、今年6月に世田谷美術館で見た「民藝 MINGEI」展と、そこで買った『かごを編む』という本がきっかけです。柳宗悦も称賛した「鳥越の竹細工」の現状と魅力が紹介されていたのです。

師匠はこの道、数十年。盛岡は鳥越と地理的には離れているわけですが、聞いてみると師匠も鳥越の家系だそうです。本にも書いてあった通り、最近は竹細工の材料となる「すず竹」が不足していて大変だそうです。
師匠が先代から受け継いだというナタも握らせてもらいました。60年以上も前から使われているものだそうです。

ずっしりと重い

このナタで竹ひごを作るそうです。「切れ過ぎてもだめ」とのことで、師匠が使いやすいよう、最適な研ぎ方になっています。

さて師匠の導きにより1時間半ほどでペン立てが完成。お持ち帰りです。料金は1600円。これは値段以上の価値があると思いました。このペン立ての編み方はいちばん基本の編み方らしいのですが、工房にはいろんな編み方のものがありました。販売もしています。

使い込んでいい味が出ている

やはり少しでも自分の手で作ってみると、ものを見る目が変わるものだと思います。今までお店などでなんとなく見ていた竹カゴやザルが「とても素人には編めない」ものだと、当たり前のことなんですが、気付かされました。人から人へと技を継承しなければなりませんね。

この「手づくり村」という施設はいろんな工房が集まっていて、竹細工以外にも岩手の手工芸や冷麺づくりなどが体験できて面白い。個人で予約できるので、家族連れにもおすすめ。私が盛岡に住んでいた30年近く前には既にあったのですが、まともに行ったことがありませんでした。雫石や網張温泉のスキー場に近いので、数え切れないほど車で近くを通っていたのですが…近くの焼肉屋ばかり行っていた。

関連リンクは以下のとおりです。

「盛岡手づくり村」↓

「しばた工芸」の竹細工教室の案内↓

世田谷美術館「民藝 MINGEI」展について私が書いたnote↓

『かごを編む』について私が書いたnote↓


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