『文学効能事典』から「希望を失ったとき」で紹介されてて読みました! ……なんか、この本からのラインナップが暗いシチュエーションばっかりで、大変だよー、ってアピールをしてるみたいになってきてちょっとアレですね。
読後、とにかく悲しくてあまり感想が出てこなかったので引用ばっかりになってしまった。つらすぎない? 希望を失ったときに読む本……なのか……?
・レニーはよく、ジョージに未来の暮らしについて話してくれたせがんでいる。あまりに繰り返し話させるので、レニーは内容をそらで覚えてしまっている。
物語論をかじろうかじろうと思いつつ、ぜんぜん言葉にできないんだけど、内容(何を)ではなくて誰がどのように語るかが重要なのかを、おそらくレニーはわかっている。覚えていようが、言われたそばから一字一句繰り返そうが、あくまで"ジョージが"話してくれる夢の暮らしが大事なんだと思う。
・話の落ち着くところは、とても悲しいんだけど、ジョージの諦めとはまた別に、クルックスのそれは恐ろしかった。
「もはや個性も自我もない」、「感情をよび起こすものもない」、「抑揚のない声」。
そしてクルックスは諦める。ほんの一瞬だけ見た夢を。これはあまりにも……。
・悲劇の直接の原因になったカーリーの妻だけど、彼女は彼女で別の夢想に囚われているんだよなあ……。
みな、ままならない現実を、たよりない夢で慰めてやり過ごしているのが、読んでいて苦しい。
・物語の最後、困ったときにどうするべきか、言いつけを思い出したレニーは、茂みの中に隠れてジョージを待っていた。レニーはまた、いつもの話をせがむ。
ジョージはこの先どうやって生きていくのか……。スリムは気にかけてくれてはいるが、ジョージはこう言っていた。
「そりゃあ、レニーはひどくやっかいなときがほとんどさ。だが、友だちといっしょに歩きつけると、とても離れられねえもんよ」(P.66)
き、希望を失ったときに読む本なのか……。ただ、紹介の意図がわかる、いい文章があったのでそちらを引用して終わる。