美術展『マティス 自由なフォルム』 -よろこびのイロ、たゆたうカタチ-
大好きな場所/国立新美術館で、
大好きな画家/アンリ・マティスの展覧会。
晩年の新境地「切り紙絵」に焦点をあてた本展の開催、コロナで延期が発表されたその日から、ずっと、ずっと心待ちにしていた。
色彩と造形が織りなす、溢れんばかりの生命力に、こちらの心は感動の波に…のまれると言うより、一緒にぷかぷか浮遊するような心地良さと、嬉しい気持ちに包まれた☆彡
今回の展覧会を通して、一番感じたこと。
それは、「実物を観ることの醍醐味」だ。
もちろん、絵画でもそれは感じるけれど、「切り紙絵」では、それをより強く実感した。
はさみでカットされた一つ一つのパーツ。
滑らかさとガタつきが混在するその形を観ていると、“確かにひとの手で作られた温かさ”が伝わってくるようだった。
貼り方を観ても面白い。
この順番で貼ったんだな、ここで修正してる!、こんな小さなパーツの貼り合わせで出来てたのか!等々、画像や図録では再現が難しかったり、気付けないような細かなところまで、観る側次第で色んな発見を楽しむことができた。
手→ 筆やナイフ→ 絵具→ 支持体
と
手→ ハサミ→ 支持体
切り紙絵は、ハサミで切るときに手で紙を掴んでいるし、手を使って支持体に貼っている。
「手」の存在をダイレクトに感じることで、作者との距離をより近くに感じられた。
行ってみたいと思う場所は沢山ある。
日本国内だけでも、一体どれだけあるだろう。
まぁ、大半は行かないままにサヨナラするんだろうが、ここだけは、ここだけは行きたい…!!
そう思う数少ない場所が、ヴァンスの「ロザリオ礼拝堂」だ。
美術館内に礼拝堂を、しかも照明によって一日の光の移り変わりまで再現したのは凄い。今回の展覧会への意気込みも感じた。凄い…確かに凄いとは思うけれども、、、勿体無い気もする。
現地へ行かなくても、約3分で光や色の変化を疑似体験できる。
コスパ・タイパが重視されている今の世の中には、合っている企画なのかもしれない…けれど、いや…いやいやいや…やっぱり、現地の光で空間を体感したい、ステンドグラスの色の輝きを観たい。
そう強く思い、長居はせずに、いつか行くかもしれないその日のために、そっと感覚を閉じてあとにした。
マティスの「色」を眺めているだけでも嬉しくなるのに、踊るような、揺蕩うような、マティスの「形」も堪能できる、とても贅沢な展覧会だった。
どんどん不自由になっていく身体とは裏腹に、どんどん自由になっていく表現。
その色や形は、原始的なところへと回帰しているようにも感じた。
”原始的”なんて、”そんな気がする”だけで、説明は難しいけども、遺伝子的な…潜在意識的な…何か、そういう類のものが反応していたのかもしれない。
さて、次に国新を訪れるのは、秋頃かな。
遺伝子とか潜在意識とか、そんなもん全部吹っ飛ばされるような極彩色の、ヤバイ世界へ。
田名網敬一さんの大回顧展。楽しみじゃ。
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