1994年9月 ブーメラン的なパリ日記2
【まとめ】朝からチケット買ったり両替したり宿替えしたり観光しながらリコンファームしたり。ギュスターヴ・モロー美術館、オープランタン、パレ・ド・トーキョー市立近代美術館、夜はオルセー美術館。
9月22日(木) 晴? 少し寒い
6:30 に起きられた。ドアから出てトイレに。ここのトイレの窓は開いていて隣のビル壁にくっついていた。
朝食は、安い割にちゃんとカフェオレ、クロワッサン、フランスパンが出た。バターとマーマレード付き。ちっちゃい丸テーブルがフロント前にあって、Nと身を寄せ合って食べる。
フロントのおにいさんは昨夜と似たような感じ。朝の人は眼鏡にウォークマンしてた。
朝食後はまず外に出る。
北駅の本屋でテレカ、メトロ入口でパリヴィジット(3jours)、案内所でカルト・ミュゼ(3〃)買って両替所に。ここで気づいたが、どれも両替所で取り扱っていた。買い物の練習かと思えば。
あちこちの交差点がえとわーる。すぐに方向が分からなくなる。
両替所でもらった地図とチラシを頼りに、一晩目の宿に案外と近いHotel Milanに行ってみる。
大犬(シェパード)とやり手そうなおばさんがいる。部屋はダブルだったが風呂付を選び、結局306+朝食40で346フラン。ここを三泊頼む。
先のホテルにチェックアウトのために戻るが、激しく道に迷う。
辻󠄀には古びたオルゴールで客寄せをしている人も。
近場だったのでなんとか戻れた。部屋に戻り、荷物をまとめていたらおそうじおばさんがやって来てしまった。すんません、と急ぐがおばさんはずっとニコニコして(でも待って)いたのでつつがなく部屋を後にする。
トランク持って次の宿へ、すぐにチェックイン。
荷物を置いてさてまずは、ギュスターヴ・モロー美術館へ!
地下鉄駅から上がって少し歩く。
陽気は少し寒いくらい、薄曇り。道路工事のディーゼルがかなりくさい。
歩道に犬のウンチ場所表示が残っていた。
のどかな石畳の道を行くと、ありましたモロー美術館。一軒家。
(撮った写真がなぜか一枚も残っておらず残念)
ここは日本人の個人観光客が多かった。
階段を上がっていくと、大作がずらりと掲げてある。
エスキースなど小さなものは、扉ばかりの戸棚のような額に表裏で入れてある。
これが膨大な数だった!
あまりの膨大な数に驚き、途中までしか見られなかった。
デッサンがとても巧みで、コンテ、鉛筆などの使い方がいろいろで面白い。普通の肖像画とかが逆に異様に見える。
貝の芯のような螺旋階段を上るとまた、展示室。
熱心に見てる人だと思われたのか、係のお兄さんが「あそこも開くよ!」と開けられるキャビネの在処をいちいち教えてくれた。
次は、Au Printempsオープランタンまで。外には旨そうな匂いをさせた出店が多い。道の両側にカフェ、総菜屋、安洋服屋、みやげ物屋などなど。Nは上着がほしい、とプランタンの中に入ってみることに。道を挟んで建つ古めかしいビルでどちらのてっぺんにも洒落たドームがある。
入った側は服が多い。洒落てはいるが、あまり意外性はない。日用雑貨はなんとなく日本の西武系って感じ。CDやレコード、本は地下一階、値段は日本とあまり変わらない。
途中分かれて買物。カシミアの無地マフラーがカラフルでほどほどに安かったので三本買う。
待ち合わせ場所でずいぶん待つ。お洒落な人も通るし、そうでもない人も。
若い男性は意外な色遣いの組み合わせが多く、女性は落ち着いた色目が多い。
ようやく、Nはうれしそうに戻ってきた。フリースみたいな柔らかい素材の軽い上着。ベージュに濃い茶色でなぜか牛とサボテンが描かれている。着てみるとなかなか素敵にみえる。
外に出て、お惣菜をふたりで買ってその辺のベンチで座って食べる。
茹でて煮たキャベツ、小ジャガイモの焼いたの、チョリソーみたいの、でかいパックひとつで36フラン。プリン10フランも買う。豆腐のパックみたいのに入っている。カスタードの載ったタルトをNが買ってきてくれて、分けて食べる。これも10フラン。
うすら寒く、温かいごちそうがうれしい。
建物を回り込んで、オペラ座の前に出る。間違って楽屋口から入りそうになる。
近くにアメリカンエキスプレスがあって、コミッションなしで両替できた。
旅程が短いので先にアエロフロートまで歩いて行ってリコンファーム。
グランパレの前を通る。コンコルド広場はすかーっと空間が抜けている。オベリスクすら針のよう。エッフェル塔は腰が落ち着いていて美しいフォルム。
公園沿いの木はなんだか栗のような実を沢山落としている。誰も拾う様子がないので「これはパリ市民にとってはハナクソみたいなモンなんだ、だからきっとこれはハナクソの実だ」とふたりで言い合っていた。
(帰って知ったがマロニエ(セイヨウトチノキ)でしたね、ほんと失礼な)。
アエロフロートのカウンターはすぐに見つかった。しかも、日本語ペラペラの日本人のような(田中真紀子氏みたいな)方だったのでおおいに助かった。
無事リコンファームが済んだのでほっとして、アルマ橋方向へ、パレ・ド・トーキョーと市立近代美術館目指す。途中でKENZOとけばけばしいCRAZY HORSEを見かけた。
始め入ろうとして図書館かと思ってやめたのが美術館だった。外で親切そうなマダムに道を教えていただき、やっと入る。
マティスの大きな壁画が美しい。パステルカラーのダンス。そこに入ったは良かったがすぐに女性職員の方がごめんねーもう閉館ですって言いに来た。おめおめと引き下がる。ハナクソの実なんて言った罰かも。
パレ・ド・トーキョーのテラスには人目もはばからず、いやはばかっていたのか?とにかくイチャイチャしているカップルあり。
バラやら白い可憐な花やら、しみじみした花が閉館ショックの傷心に沁みる。
エッフェル塔にほど近いパリの蓬莱橋(静岡県民知る人ぞ知る)を渡る。
Pont D'Iena。川風が気持ちよい。観光船がひっきりなしに通る。
Port de la BourdonnaisからBatobusに乗らんと欲す!
17:48に乗り、Port de Solferinoへ行くことに。一区間12フラン。
はじめ、切符売り場に人がいなくてぼおーっと待っていたら、そのうちパンと飲み物を持ったおにいさんが帰ってきた。
この国の人は食べたべ仕事する人をけっこう見かける。メトロ窓口もそうだったし。
船はEdith Piaf号。
人があまり乗っておらず(多くて20名くらい?)少し心配になるが、でも気持ちよさは天下一品だった。
船は他にもバトームーシュ、バトーパリジェンヌ、ポンヌフ号とか見た。
12分ほどで、Musee d'Orsayのすぐ前に着く。ここは夜の開館があるとNがちゃんと調べてくれてあったので。ありがとうNどん。
いったん美術館を通り過ぎて、近くのカフェに入って腹ごしらえ。
Rue de Bellechasse沿い。小さなカフェだが鏡のせいで広々と見える。カフェオレとフランボワーズのタルト。Nはコーヒーとリンゴのタルト。
すぐ外の通りを2歳か3歳くらいの女の子が駆け回っている。手に大きな落ち葉を持ってゴキゲン。
急にガラス越しのこちらに気づき、それまでクッキーをもぐもぐ頬張っていたのをあーん、と口を大きく開けてかみ砕かれた焼き菓子の残骸をこちらに見せてくれた。
母は気づかず。うん、めるしーまどもわぜー。
なんか可愛らしくてNと笑ってみている。靴とお洋服がお揃いのサップ・グリーン、おしゃれこの上なし。そして菓子の残骸もすごし。
腰を上げて夜のオルセーへ。
かなり空いていてのんびり見られた。
それぞれマイベストを選び、同じポーズをとることに。
すっかり心満たされて家路につく。
22:00頃 遅い夕飯を北駅近くのカフェでなぜかイタリア飯をいただく。
23:00近くにホテルに戻る。
帰ってからNが「オルセー良かったけど、(アングルの)『泉』見なかったよねー」と。そう言えば見てないや。
余裕があったら再度探しに行こうということになり、ゆっくり休む。