「人工中絶を認めるか⁉@アメリカ」新科目公共で学ぶ探究のトビラ(11)
人間社会では,必ず意見や考え方が対立します。解のない問題や課題が現代社会では増え続け,これからはコミュニケーションを通じた共に納得できる解を見いだす姿勢や態度がますます求められます。中高社会科教員経験のある大学教員です。生徒や学生たちとの授業実践,互いの根拠や意味を問い合う対話による探究活動を紹介します。諸学校での授業活用はもちろん,理解しやすい身近な題材にしていますから,友人同士や家族団らんで語り合ってみてはいかがでしょうか。
人工中絶とは⁉
人工中絶とは,「人工的に胎児を母体外に排出すること(母体保護法第2条)」です。日本では,通常満22週未満において指定された医師によって行われることがあります。一方,アメリカでは,激しい論争が続いています。
アメリカ連邦最高裁判所の判断は⁉
2022年6月24日,アメリカ連邦最高裁判所は妊娠中絶禁止を認める判決を下しました。これは全米の州が中絶禁止にすることを合憲にするということでもあります。つまり,女性が人工中絶を選択できなくなるということがあり得ます。
アメリカでの人工中絶の取り扱いは?
アメリカでは,キリスト教の影響もあり,長らく人工中絶が認められていませんでした。しかし,1973年,「ロー対ウェイド判決」によって,人工中絶が認められるようになります。女性解放運動の成果でもあり,人工中絶は女性の権利ともとらえられるようになりました。
賛成・反対,それぞれの立場は⁉
アメリカは二大政党制を採っていますが,比較的民主党は中絶容認の立場に立っています。一方, 共和党は中絶禁止の立場にあり,特にキリスト教福音派は命を最重要視しているようです。
問題点は⁉
州によって対応は分かれていますが,レイプなどによる妊娠においても人工中絶を禁止している州も少なくないようです。子供の被害者であっても例外ではなく,それでも胎児の命を最優先に考えるべきなのか,とても難しい問題になっています。
探究とは…
①自分で課題を見いだす
②解のない問いと向き合う
③人としての在り方生き方を追究する
④他者と共に望ましい社会形成に参画する