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僕が拒食症だった時の話

 僕が拒食症だった時の話を元に、「みんなに気をつけてほしいこと」「今自分が拒食症かなって人が一歩踏み出すきっかけ」を書けたらいいなと思う。

容姿へのコンプレックス

 僕は拒食症だった。ものすごく短期間だし、医師に診断されたわけではないけど、思い返すと拒食症だったなと思う。具体的には高校3年生の頃、拒食症になった。中学生の頃ラグビーをやっていて、その頃の食生活が抜けずに高校生になって太ってしまった。その頃から学校に行くのも嫌になっていた。友人にはあまり話さないのだが、痩せていた時も、太っていた時も、僕はどんなに仲が良い友人にも自分の裸を見せるのは恥ずかしく感じる。自分の容姿にものすごくコンプレックスを感じていて、他人に見られるのが恥ずかしい。生徒会長や部長も務めていたけど、それは自分が「何者」なのかが明確で、それを演じていれば本当の僕を見つめる人はいないから、隠れみのにしていた。「自分」に自信がなかった。

マッチョコンテストへの出場

 そんな自分を変えたくて、高校3年の僕はマッチョコンテストに出ることにした。10月30日の文化祭で、マッチョコンテストをやる。そう決まったのは9月中旬だった。僕は出場を決心し、他の出場者と並びたくて1ヶ月のダイエットを始めた。当時の体重は85kgで明らかに太っていたし、なぜ出場に踏み切れたのかは自分でもよくわからない。とりあえず、脚は太いし、腕も太いし、ダイエットすればマッチョになるでしょ、という短絡的な考えで出ようとしてたのだが、やっぱりこれをきっかけに何かが変わる気がしていたんだと思う。

ダイエットの開始

 まず目標を立てた。(身長のマイナス110が適正な体重らしい。身長が173cmだから体重は63kgかな。よし、1ヶ月22kg落とそう。ってことは30日で割って、1日0.7kg落とせば間に合うのか!!よっしゃいける!)こんな感じで、毎日朝昼キャベツ納豆食べて、夜は我慢して、1週間で6kg落ちた。この時から周りから痩せたと言われ始めて、ダイエットが楽しくて仕方なかった。

ダイエット2週間目

 この頃から異変が起き始めた。(眠いし、だるい。けど痩せなきゃ。。あれ、体重落ちてない、明日はもっと食べる量減らして運動はいつも通りやらなきゃ。)こんな思考で、毎日10km走って、プールで2時間泳いで、2時間筋トレしてた。

ダイエット3週間目

 体重が落ちなくなった。頰がこけた。なんの気力もないけど、体重は落とさなきゃいけない。運動を続けながら、食べる量を減らすしかなかった。たまに食べてた白米や、卵も、食べると罪悪感で吐いていた。空腹よりも、食べてしまう罪悪感が激しくて、全て吐いていた。

ダイエット4週間目

 体重は63kgまで落ちた。とても嬉しかった。マッチョになった気分で意気揚々としていた。しかし実際は、急激に痩せたせいでお腹の皮は残り、頰はこけて、肌は荒れていた。筋肉もほとんど残っていなかった。人前に立つ楽しさで気力だけは十分にあったが、体調の違和感もあった。

マッチョコンテストの後の心境

 自分を変えたくて出場したコンテストだが、終わってから何かが変わったかというと、何も変わらなかった。相変わらず人前で脱ぐのは恥ずかしいし、自分に自信もない。周りからの反応が変わったかというと、それも変わらない。手に入れたのはダルダルに残った腹の皮と、太っても痩せても変わらず接してくれる優しい友達だけだった。僕はその時に、本当に大切にするべき友人に気づけたのかもしれない。

マッチョコンテスト後、過激なダイエットの本当の恐ろしさを知る

 マッチョコンテストから1週間経って、好きなものを食べまくろうと思っていたのだが、罪悪感と胃の小ささから、食べたものをほとんど吐き出してしまう生活が続いた。この時に自分が拒食症だと自覚し始めた。どんどん筋肉が衰え始め、それでも体重を増やしてはいけない。自分は太っているから食べてはいけないという強迫観念から逃れられなかった。

拒食症の治療

 拒食症の治療をしたかというと、特別なことはしていない。何をしたのかというと、まず「自分は太っている」という強迫観念からは逃れられないので、太っていると思い込むことにした。その上で、正しい知識でダイエットに挑もうとした。

筋トレとの出会い

 そこで知ったのが「ウエイトトレーニング」だった。それまでもベンチプレスなどもしたことはあったが、腕立て伏せの方が理想の体になれそうだし、あんなにでっかい筋肉はいらないから筋トレは家でじゅうぶん!!と思っていた。しかし、ダイエットについて調べていくと、ウエイトトレーニングの効率の良さや、背中、肩、脚、胸の大きな筋肉をつけると、それまでの倍のカロリーを摂れることも知った。

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拒食症という恐ろしいものに片足を突っ込んだ時に、ウエイトトレーニングに出会えてよかった。もし、あの時にマッチョではなく別の何かに憧れていたら、筋トレに出会えてなかったら、拒食症から抜け出すのはどんどん難しくなっていたかもしれない。

ダイエットで気をつけてほしいこと

 ダイエットで自分を変えようとするのは素晴らしいことだし、むしろ人生ではそうやってもがく時は必要だと思う。だけど、ダイエットで自分を変えて、本当に大切なものを失わないでほしい。「友人」「家族」「食欲」大切なものはたくさんあって、普段不満に感じていることはあなたが太っていることが原因なのではなくて、他の要因であなたに不遇が襲っているのかもしれない。もう一度自分をよく見つめて、ダイエットに励んでほしい。

拒食症の方へ

 私は「なりかけた」と言った方が正しいです。気分を害されたらごめんなさい。しかし、あの食事をする時に後ろから見つめられているような感覚、食べた後に自分の中に生まれる罪悪感という名の脅迫者、喉が焼けて口の中で感じる胃酸、その存在を今でも忘れません。みなさん、ものすごくつらい中で戦っているかと思います。どんな姿のあなたでも愛してくれる人、認めてくれる人は必ずいるはずです。自分を変えるよりも、今のあなたを見つめてくれる人を探すことに専念してくれたら嬉しいです。

筋肉図鑑について

 実は筋肉図鑑を始めた経緯はここにも繋がります。あの時、「マッチョ」に憧れていたからこそ自分はここにたどり着けた。だから、より多くの人に「マッチョ」に憧れてほしい。だから、慶應大学内で「マッチョはかっこいいんだ」という価値観を作りたい。そのために学生マッチョをかっこよくプロデュースしよう、、という経緯です。

最後に

 最後まで読んでくれてありがとう。初めて公に向けて話しましたが、さらけ出すのはやはりいいものですね。こんな僕ですが、これからも応援よろしくお願いします。



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