小学校理科を指導要領から考える【毎週水曜日更新】
はじめに
葛飾区を中心に理科教育イベントを行っている筆者が小学校での理科教育法や楽しく学ぶ方法を考えてとりあえず文章に起こしている記事です。読みづらい部分ばかりとは思いますが、発想の一つとしてお読みいただければ幸いです。
前回→「太陽と地面の様子」https://note.com/katsushikakap/n/na7d363d312b0#c9bf793a-3097-497e-9d67-0b0f13ec55f1
1.「空気と水の性質」の概要
粒子の考え方の基礎になる学習です。指導要領でも『第6学年の
「A(1)燃焼の仕組み」の学習につながるものである。』と明記されています。
また、「水の三体変化」等の理解にも関わってくる学習だと私は考えるので概念的でフワフワした単元ですが伝えるべき部分、考えて欲しい部分を明らかにしていきたいと思います。
2.「空気の性質」について考える
この単元に関わらず理科教育全体の課題として「見えないモノをどのように理解するのか」があるとおもっています。今回は「空気は圧縮すると体積が小さくなり、圧し返す力が強まる」という現象が当てはまります。
「常温で色のついた安定して安全な気体」ってまあないんですよね。色のついた気体だけなら塩素、ヨウ素、臭素、二酸化窒素、フッ素とかあるんですけど、そもそも色が付いてる時点で往々にして危なかったり、色が付く条件があったりする可愛い子たちであるわけです。
なので、今回は空気は透明なままで理解してもらう必要があるわけです。
現在よく行われる実験は注射器みたいなシリンジの口を閉じて圧縮や、試験管で空気を圧縮する実験だと思います。流石に文句のつけようがない良い教材です。何よりも実験に使う容器の形は変わらず、固く破損しにくいことが安全で良いです。水と空気を同時に操作できるのも非常に良いです。
それを踏まえて、形の変わる容器に空気を入れて観察する方法を考えてみましょう。
空気を入れた風船をつくります。一か所を指で押してみると凹みます。ここで「空気が圧縮できた。」と思っては甘いです。圧した部分と他の場所が膨らんだだけで体積は変わってない場合が100だと思います。
なので、この風船を形の変わらない容器に入れれば良いのです。
やっていることは既存の実験方法と変わりませんが、一部の空気を見える様にできる実験方法だと考えます。
そして、シンプルに空気が圧し返してくるという事を当たり前のように感じることが出来るのも利点だと考えます。
3.「水の性質」について考える
空気より観察しやすいですが、こぼしたりなんだりで少し手のかかる教材です。既存の実験方法も良いですが、ここでも実験方法を考えてみます。
空気の性質では、風船を使用しましたがここでも大活躍です。
風船に水を入れる時、空気と同じように入れるのが難しいことを観察したいと思います。例えば、蛇口から水を入れようとしてみると、結構な水量が必要な事がわかります。このことから「水の持っている力」と「ゴムの力」の関係を考えることが出来るとベストです。
4.「空気と水の性質」で比較する
比較するにあたり、シリンジがあるととても良い観察が出来ると思います。
風船に同じシリンジで同じ量の空気と水を入れてみましょう。どちらのほうが風船が膨らむか観察をしてみましょう。
単純な実験ばかりでしたが、体験的な学びにはなるかと思います。
5.「空気と水の性質」のまとめ
今回は「風船」を教材におき実験方法を考えてみました。
「形の変わらない容器」「形の変わる容器」という部分を変えてみるだけで物の見方も少し変わるかなと思いました。
また、この実験は「水の三体変化」で個体、液体、気体の体積が異なるという事に繋がる実験方法だと思っています。これはその時に改めて取り扱う事が出来ればと思います。
6.おわりに
改めて学習方法、実験方法を調べたり、まとめたりする度に現在の実験方法は何年も現場の先生方が最適化してきた方法なのだなと実感します。
そんな積み上げられてきたものに対して、新しい方法を提案する事は
非常に生意気で挑戦的な事ですが、現代社会に合った素材や道具を使ってみたり、先生方の頭を悩ませる準備の時間や片づけの時間を減らすことの出来る実験方法、理科教育を考えて少しづつでもよりよい日本の教育が出来る様になればと思う次第です。
毎週水曜日更新予定、次回は4月10日更新!「指導要領第4学年 金属、水、空気と温度」を考えていきたいと思います。
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