小学校理科を指導要領から考える【毎週水曜日更新】

はじめに

 東京都葛飾区を中心に理科教育イベントを行っている筆者が小学校での
理科教育法や楽しく学ぶ方法を考え、とりあえず文章に起こしている記事です。読みづらい部分ばかりとは思いますが、発想の一つとしてお読みいただければ幸いです。
当記事、当シリーズは全文無料でお読みいただけます。
前回に引き続き実験方法の改良が難しい単元を扱っています。
前回→「動物の誕生」https://note.com/katsushikakap/n/ndd22cfbdfbd9



1.「流れる水の働きと土地の変化」の概要

 流れる水の働きと土地の変化について、水の速さや量に着目して、それらの条件を制御しながら調べる活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のことを理解するとともに、観察、実験などに関する技能を身に付け
  ること。
(ア)流れる水には、土地を侵食したり、石や土などを運搬したり堆積させたり  
 する働きがあること。
(イ)川の上流と下流によって、川原の石の大きさや形に違いがあること。
(ウ)雨の降り方によって、流れる水の速さや量は変わり、増水により土地の
 様子が大きく変化する場合があること。
イ 流れる水の働きについて追究する中で、流れる水の働きと
 土地の変化との関係についての予想や仮説を基に、
 解決の方法を発想し、表現すること。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編

(5)内容の「B生命・地球」の(3)のアの(ウ)については、自然災害についても触れること。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編

2.流れる水、川の働き

 水槽に石や砂を入れて、水を流す実験が結構主流かなと思います。
実際、「上流と下流の違い」「流れによる浸食、体積」といった観察すべき点をきちんと観察できる内容にはなっています。
ただし、準備と片付けが非常にめんどくさい。演示実験として、
見せるだけでも十分かもしれません。 
 手順を減らす方法として、外で実験を行う手があります。
板とじょうろがあれば、外の使って居ない花壇や、ビオトープで
板に傾斜をつけ、花壇の土を置いて、水を流すだけで既存の実験同様の観察を行うことができます。ホースを使えば、水量を変えることも可能です。
後片付けも楽になるので実験候補としては十分使えるのではないでしょうか。

3.土地の観察

 こちらは実験による観察というよりは、社会科の地域調べにまたがった調べ学習に近い内容になるかと思います。
ほぼほぼ日本のどちらの地域でも、河川は開発されている事と思います。
また過去の台風、洪水被害等から土地がどのように変化したのかを調べ、
そこから「自然によってどうなったのか」「人の手でどうしたのか、なぜそうしたのか」を理科的に考える学習に落とし込むのが良いと思います。
学習時間を確保するのが難しい内容になるかと思いますが、映像教材で学ぶよりも体験的な学習を求めるのであれば住んでいる地域と併せた学びにするのが良いはずです。

4.「流れる水の働きと土地の変化」のまとめ

 実験は外で、地域調べと一緒に土地の変化について触れる。
というのが重要な点かと思います。
実際に行うことが難しい実験は、なあなあに行ってしまう現実があることはわかっています。そういう時は逆にやらない選択をすることも良いと思います。それこそ、ネットの普及で「結果」を知っている子ども達は非常に多いです。実験は結果に辿り着くための「途中式」として使うのが最も良いと私は考えています。なので、よくわからないままに操作するより、映像教材でしっかりと観察する事や、観察に集中できる演示実験を行うことも学びのための選択肢だと思います。

5.おわりに

 まとめで大方書きましたが、非常に自由研究向けの単元だなと感じます。
海でお城を作るときに、溝を掘って水の流れを制御したり意外とそういった体験の中で「知っているけど言語化していない知識」を学んでいると私は思っています。
きっと、「センス・オブ・ワンダー」を書いたレイチェル・カーソンもこんな気持ちだったのかなと思い馳せるまとめでした。
理科教育の名著ですので、まだ読んだ事のない方はぜひ。

毎週水曜日更新予定、次回は7月10日更新!「指導要領第5学年 
天気の変化」を考えていきたいと思います。
イベント等々毎週の様に行っていますのでご興味あればHPやXをご覧ください。
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