
ツイートする時の脳内を公開 週刊カツオ #4
昨年のお正月、2020年は何か新しいことを始めようと考えて、2020年1月1日から気楽に始めたTwitter。日常の何気ない一コマから得た気づきなどを気ままにつぶやくお魚アカウントですが、おかげさまで3,200名を超える皆さんにフォローしていただくことができました。
時々、フォロワーの方から、リプなどで「ツイートする時の言葉が独特」「文才あり」などと、天にも昇りそうな嬉しいコメントをいただくことがあります。「悩める人をツイートで励ます」をモットーに、アウトプットのトレーニングとしてTwitterをしている私にとって、いいねやリプ、リツイート、DMなどで感想などをいただけることは、継続する大きなモチベーションになっています。ありがとうございます。(あ、noteのコメントも大歓迎です。)
そこで今回は、これまでの1年間の感謝の気持ちを込めて、ちょっとした恩返しといってはなんですが、普段ツイートをするとき、アイデアが頭に浮かんでから、どのように言葉を選んで推敲し、「ツイートする」ボタンを押すまでの間、私の頭の中がどのような動きをしているのかをご紹介したいと思います。ツイートを考えるプロセスを公開することで、読んでくださった方のツイートや文書作成の際に、何かの足しになれば幸いです。
では、2021/1/13のツイート(下記)を題材に、ツイートを組み立てるプロセスを解明します。
タスキは両手で
— カツオ@ビジネス現場の火消し技師 (@katsuo_irie) January 12, 2021
駅伝のタスキリレーでは、次の選手が受け取りやすいように、両手でタスキを伸ばして渡します。力走しても、最後の仕上げのタスキリレーでミスすると、頑張った貯金がいとも簡単にフイになります。何かを伝える時も、言葉のタスキは両手で渡す気遣いを忘れないようにしたいと思います。
1.ツイートを思いついたきっかけ
このツイートを思いついたのは、お正月に、テレビで実業団のニューイヤー駅伝や箱根駅伝を見ていた時がきっかけです。私は走るのは遅いのですが、マラソンや駅伝をテレビで見るのがなぜか好きで、よく見ています。
ご存知の通り、駅伝のタスキリレーは、区間を走り終えた選手から次の選手へタスキを渡すときに、相手が受け取りやすいように、両手でタスキを伸ばして渡します。ヘトヘトになって、倒れこみそうになっても、次走の選手が受け取りやすいように広げて渡すという、選手の心遣いが印象的でした。
この心遣いは、駅伝という仕事の仕上げともいえるタスキリレーという大切なミッションで発生しがちなミスを予防する効果もあるため、仕事にも応用できるのではないかと思い、ツイートしてみようと考えました。
2.ツイート原稿の組み立て
さて、「あした天気になあれ」というゴルフマンガをご存知でしょうか。
主人公、向 太陽(むかい たいよう)がゴルフスイングをするときの掛け声が「チャー・シュー・メン」です。チャーでバックスイング、シューで振り降ろし、メンで打つ感じです。
実は、私のこの日のツイートも、次のように「チャー・シュー・メン」で構成されています。
・チャー:気付いたこと
駅伝競走のタスキリレーの説明です。次の選手が受け取りやすいように、両手でタスキを伸ばして渡す気遣いについて1行で表します。
・シュー:気付いた内容
一言で言うと、「タスキリレーをミスするとどうなるか」です。
例えば、区間記録に秒単位で迫るような良いタイムで力走していたとします。最後のタスキリレーでタスキを落としたり、絡まって渡しにくいミスすると、数秒のロスが生じます。せっかく頑張ったのに、その貯金がいとも簡単にフイになるリスクがある、意外と大事な仕上げ作業であることを、1行で表します。
・メン:気付きから得た教訓
このツイートのキーメッセージを選びます。
下書きの段階では「タスキリレーの教訓」とだけ書いておきます。
このキーメッセージについては、たくさん候補が挙がりましたので、次のステップで吟味しました。
3.キーメッセージの選定
一番このツイートで伝えたいこと、それがキーメッセージです。
チャー・シュー・メンの「気付きから得た教訓」や、強調したいこと、話のオチなどツイートの内容によってさまざまですが、いわゆる「締めの言葉」を選びます。
今回の駅伝ツイートを締めくくるキーメッセージの候補としては、次の10個が思い浮かびました。ひとまず、スマホのメモ帳にダーッと書いていきました。
1.何かを伝えるときも、言葉のタスキは両手で渡す気遣いを忘れないようにしたい。
2.仕事のタスキリレーも、次の人がやりやすいように両手で渡していきたい。
3.神は細部に宿る。最後まで手を抜かないようにしたい。
4.九分九厘をもって道半ばとせよ。
5.仕事は最後の仕上げまでがワンセット。
6.走る以外のことで、チームのタイムに貢献できる、それが「気遣い」。
7.ヘトヘトになっても最後まで気遣いができることがすごい。
8.仕事でも最後の受け渡しがまずいとそれまでの積み上げがパーになる。
9.頑張ったことほど、完了報告までを丁寧に。
10.切り絵でも、会心の作品が仕上げの額装が不味いと台無しになる。
厳正な審査の結果、キーメッセージグランプリに輝いたのは、エントリーNo.1の「何かを伝える時も、言葉のタスキは両手で渡す気遣いを忘れないようにしたいと思います。」が選ばれました。
4.推敲の遂行
さて、ここからが楽しくもあり苦しくもある、推敲を遂行する、推敲の時間です。
基本は、2.で説明したチャー・シュー・メンの順番に並べます。その並びに違和感があったり、気分や内容によっては、倒置法のようにメン・チャー・シューにして、ツイートすることもあります。
書いて消して、消して書いて。
音読して、スッキリ読めたらOK、という感じで試行錯誤します。
その結果、次のような文章になりました。
・チャー:気付いたこと
駅伝のタスキリレーでは、次の選手が受け取りやすいように、両手でタスキを伸ばして渡します。
・シュー:気付いた内容
力走しても、最後の仕上げのタスキリレーでミスすると、頑張った貯金がいとも簡単にフイになります。
・メン:気付きから得た教訓
何かを伝える時も、言葉のタスキは両手で渡す気遣いを忘れないようにしたいと思います。
5.最後の仕上げ
ツイートする直前にタイトルを考えます。
今回は「タスキは両手で」に決めました。通常、タイトルは、最初に何か付けておき、書き終えた後で再度考えて付けます。
そして、1時間ほど寝かせて、再度声に出して読んでみます。少しリセットされた状態で、文章の「てにをは」の違和感があれば、修正してからツイートするようにしています。今回も微修正してから誤字が無いことを確認して「ツイートする」ボタンを押しました。
私のツイートには、大きく分けて2つの型があります。
上記のように推敲を重ね、間を置いてツイートする「熟考型」と、直感的に思いついたことをそのままの勢いでツイートする「即興型」です。
時間帯にもよりますが、熟考型が7割、即興型が3割くらいだと思います。そして、基本的に「140文字」でツイートすることを心がけています。
以上、ツイートするまでの私の頭の中を公開してみました。振り返り、文章に整理する過程で、自分としても新しい学びがありました。
「ほうほう。ツイートする時、こんな風に考える人もいるんだねぇ」と思っていただけたら嬉しいです。
ツイートのスタイルも、言葉選びも人それぞれですので、自分に合う方法を見つけられれば、日々のツイートの習慣化が楽になるのかなと思います。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。