「賃上げの春」に感じたこと
勝田です。
4月も終わりに近づき、新入社員の方は初任給、それ以降の方は新年度最初の給与がお手元に来た方もいるかと思います。
すこし日が経ちましたが今年の春は「賃上げの春」でしたね。
大手企業では5%超、中小企業でも平均4.69%の賃上げとの統計が出ており、多くの方にとって過去に経験のない給与アップになったのではないでしょうか。
私の所属している会社も過去最高の賃上げ率となり、上昇分をどう使おうかなーと小さく心躍っておりました。
そんな賃上げに喜ぶ私も、すぐに素直に喜べなくなった、これから大中小問わず企業が直面する課題について感じたことを書きたいと思います。
■賃金は人への投資である
私はメーカーで一製品の販売計画と収益管理を担当していますが、賃上げ発表を待ってかのように2024年度の製品別収益見通しが出て、まさに青ざめました。(想定はしていたのですが)
製造費用が大幅に上昇して、黒字は余裕、上積み目指すとしていた損益が赤黒ギリギリのラインになっていたのです。
製造費用の上昇の一要因はそう、労務費の上昇です。当然自社だけではなく製造工程を請負う協力会社も労務費上昇しているので委託費用も上がっています。
これをみた時に、まさに「賃金は投資である」と実感しました。
企業として社会に貢献しながら利益を上げるためには資源が必要です。
高収益→物価上昇のインフレサイクルに入っており、また生産年齢人口の減少となる中では、働く人に対する処遇を改善することは成長のために不可欠でしょう。
裏を返せば雇用される側もその期待に応えなければ、その投資のリターンが得られず、企業が生き残ることができなくなるということです。
長らく大きく上がらなかった給料上がって嬉しいなーで終わることなく、ちゃんとリターンできるように価値を創造していかねば、と一サラリーマンとして感じた次第です。
■中小企業はどうする?
「人への投資」ということに関しては、中小企業こそ顕著になってくる問題だと思います。
大企業と比較して収益規模が小さい場合がほとんどだと思いますので、労務費に回せる原資が少なく、これまで以上に大企業との格差が開き、人材獲得競争がより厳しくなることが想定されます。
また、労務費やそれ以外も含めたコスト上昇分を価格に転嫁することについても、「下請けGメン」「トラックGメン」など政府機関による支援が行われ以前よりも改善しているとはいえ、まだまだ弱い立場にいることは確かです。
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/Gmenhoumon.html
この課題に対してどう取り組んでいくべきか、何が正解かはまだわかりませんが、中小企業診断士の端くれとして、そのような悩みに直面している経営者の方に対して、難しいと思いますがまずはその会社の持つ強み=利益を生み出す源泉を再確認したうえで、その強みをどう伸ばしていくか、寄り添って考えられたらいいのかなと思います。
■知識を持つことで視野が広がる
というわけで今回は最近の身近なニュースから考えてみましたが、中小企業診断士を勉強する以前の自分であれば気にせず受け取っていただけの情報も、知識を身につけ、関心を持って触れてみると、見える景色が変わるんだなと改めて感じました。
「学び」については昨年書いた記事でも書いていますが、いざ机に向かってテキストを見て、ということだけでなく、常に自分の中に「問い」を持っておいて、日常に転がっている様々な事象・情報からその問いに対するヒントを得ていくことだと思いますので、これからもアンテナ高く、色んな情報を素通りしない様にしていきたいですね。
(ちなみにトップの絵は生成AIで賃上げの春の絵を印象派風に描いてと指示して作ってもらいました、なんでも試してみるスタイルです)