もし認知症になったら・・・成年後見人をつける時の手続き
こんにちは勝司法書士法人です。
もし自分の親が認知症になってしまったら・・・
預金の出し入れや解約ができなくなる
不動産を売ることができなくなる。
相続の時に遺産分割協議ができなくなる。
など困った事態に陥ることになります。
このような状態を解消するためには、成年後見人を選任する手続きを裁判所で進めることが必要です。
ですが成年後見(正式には「法定後見」と言います)の手続きは準備する書類が非常に多く手続きも複雑で時間もかかります。
一般的には手続きの開始から後見人の就任まで3ヶ月~6ヶ月程度の期間がかかると言われています。
この記事では成年後見人が選任されるまでにはどんな手続きがあるのか?についてできるだけシンプルでわかりやすくご紹介します。
YouTubeで関連の動画を見ることもできます。
認知症になった場合の成年後見人をつける時の手続き
成年後見の手続きは下図のような流れで進んでいきます。
申立の準備→申立→就任の順番で進みます。
それでは早速始めのステップである「申立ての準備」から順番に見ていきましょう。
1.成年後見人の申立ての準備
①申立人を決める
まずは家庭裁判所で手続をする人(申立人)と後見人候補者を決めます。
申立人になれるのは「本人・配偶者・4親等内の親族・市区町村長」だけです。
次に後見人候補者となることは誰でも可能となります。
(※未成年者や破産者のように民法で定める欠格事由に該当している場合を除いて)
ですがその候補者が希望通りに裁判所に選任されるとは限りません。
例えば本人の財産が高額である場合は慎重に事務を行うことが求められます。
そのようなケースでは司法書士や弁護士のような第三者が選任されやすいです。
②管轄の裁判所を確認する
申立の手続きをするのは「本人の住所地を管轄する家庭裁判所」です。
管轄がどこかは裁判所のホームページで確認することができます。
③必要書類を準備する
成年後見の手続きに入る前に次の書類を準備しましょう。
具体的にどのような書類を用意すれば良いのか?
その書類はどこから入手したら良いのかについてまとめてありますので参考にしてください。
2.書類入手先その他まとめ
①本人の戸籍謄本
本籍地がある各市区町村役場で入手
※発行から3ヶ月以内
②後見人候補者の戸籍謄本
本籍地がある各市区町村役場で入手
※発行から3ヶ月以内
③本人の住民票
住民登録されている各市区町村役場で入手
※発行から3ヶ月以内
④後見人候補者の住民票
住民登録されている各市区町村役場で入手
※発行から3ヶ月以内
⑤登記されていないことの証明書
東京法務局本局後見登録課で入手
⑥医師の診断書
かかりつけの病院・診療所で入手
⑦本人の健康状態がわかる資料のコピー
介護保険認定書・障害者手帳などのコピー
※要介護度など本人の状態を確認できるもの
⑧収入・支出についての資料のコピー
年金額決定通知書や確定申告書、その他収入が確認できるもののコピー
国民健康保険料や介護保険料の決定通知書、医療費・施設利用費などの請求書
領収書など支出が確認できるもののコピー
⑨財産についての資料
固定資産税の納税通知書・固定資産評価証明書・名寄帳のコピー
預金通帳、残高証明書、証券会社の取引報告書など預金や有価証券の残高や口数を確認できるもののコピー
保険証券など生命保険の契約内容を確認できるもののコピー
金銭消費貸借契約書や請求書など、負債の残高や内容などが確認できるもののコピー
⑩申立書類を書く
申立書類は各家庭裁判所のホームページからダウンロード可能です。
ただし裁判所ごとに書類の書き方が異なっています。
管轄の家庭裁判所のホームページから用紙をダウンロードするようにしましょう。
ごく稀にネット上では申立書類をダウンロードできない裁判所もあります。
その場合は郵送か窓口で取り寄せましょう。
基本的に次の書類が必要です。
手続きに入る前に準備しておきましょう。
後見開始申立書
後見事情説明書
親族関係説明図
財産目録
収支状況報告書
後見人等候補者事情説明書
親族の同意書
⑪面接日を予約する
申立人と候補者から詳しい事情を聞くために家庭裁判所で面接が行われます。
あらかじめ面接希望日を決めてから裁判所に予約をしましょう。
中には予約が不要な裁判所もありますが原則として事前予約が必要だと考えてください。
準備した書類は面接日の1週間前までに裁判所に提出することになります。
2.成年後見人の申立て
①面接
面接の所要時間は1~2時間程度となります。
面接で聞かれることは
なぜ申立したのか
本人の判断能力
生活状況
財産など
となります。
聞かれた場合に答えられるようにしておきましょう。
②審判
申立から約1ヵ月程度で審判が出ます。
審判書が後見人に郵送されます。
③登記
審判が確定すると東京法務局本局に成年後見人・成年被後見人として登記されます。
3.成年後見人の就任
①家庭裁判所に報告する
成年後見人・成年被後見人として登記されたら家庭裁判所に次の書類を提出します。
財産目録
年間収支予定表
②各種届出
東京法務局本局で後見登記事項証明書を取得してください。
郵送でも請求できます。
その後に金融機関や行政機関に後見人として届出をします。
認知症になる前に任意後見を!
これまでご紹介してきた手続きを法定後見と言います。
法定後見は後見人の支援が必要な方がすでに認知症になっている場合に行う手続きです。
法定後見において後見人を選ぶ権限があるのはあくまで家庭裁判所です。
もちろん候補者が後見人に選任されるとは限りません。
本人がまだ認知症になっていない、、、
そういった場合なら後見人を契約書であらかじめ指定しておくことができる
任意後見の利用を検討しましょう。
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「調べてもよくわからない、、、」
成年後見や法定後見は専門的な内容のためわかりにくい点があると思います。
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