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[読書感想文]凪良ゆう『儘ならない彼』
「何のために撮るのか」
「本当の自分って…」
「成功って何?」
個展が成功してからの、怒涛の生活環境の変化に追いつけない平良一成の咽びや呻きが聞こえた。
気を抜けば顔を出そうとするネガティブを押し込め、周りに感謝しポジティブであろうとする平良
誰よりも普通の恋人同士を望んでいたはずの清居が、気持ち悪くない平良に違和感を感じ、なんとか元に戻そうとする様に"ふふっ"となった。
冒頭から引き込まれ一気に読み進めたが
ラストのクライマックスは本当に素晴らしい。
遭難した平良を見つけ出したのはやはり
清居だけだったし、その清居を信じたのは
野口だけだった。
この三人。
なんなんだ。この絆⁉︎
どうなんだろと鳥肌が立ちまくる。
「平良が嫌い」と言った野口の言葉を
理解出来ない平良。
平良のたった一人の師匠(違った。アヒル隊長も同レベルの師匠だった)の野口の不遇の経歴。
野口にとっても平良はたった一人の弟子なのだ。
その弟子に「青は藍より出でて藍より青し」と
思わせられる写真を見せつけられる。
それでも野口は平良に出会って良かったと
私は思う。
そして、その写真。
想像しただけで涙がちょちょぎれる。
土砂に埋められていくほんの小さな隙間に
浮かぶ光を求めて、シャッターを切る平良。
前髪を上げて、涙が溢れて、清居だけを思って。
それが、平良が「写真を撮る理由」だから。
今回はソフトすぎる濡れ場だけでしたが
満足のいく内容でした。
『美しい彼』最高だよー。