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本屋さんに「高齢者コーナー」があったらいいな

出来ることが少しずつ減っていき、ただ生きているだけの時間が増えていく母。少しでも楽しめることを見つけてあげたい。本屋に足を運び、喜んでくれそうなことを探す。

ちょっと大きな書店だと、児童書コーナーがある。
絵本があって、児童向けの本があって、近くには学習参考書の棚がある。ジュニア文庫やコミックも近いだろう。
子どもが本屋さんに行ったら、その一角で事足りるようになっている。

だけど、高齢者に必要な本は、一ヶ所にかたまっていない。
「高齢者コーナーはこちら」なんていう書店がどこかにあればうれしいが、わたしはまだ出会ったことがない。
だから、書店の中を歩き回る。

漢字ナンクロという、白マスをすべて漢字で埋めていくパズル。母はこれが好きで、ちょっと時間があると座り込んで解いていた。
いつの頃からか「目が疲れる」とあまりやらなくなった。
大きいサイズの漢字ナンクロを本屋さんで見つけて、渡してみる。
喜んで解いていたが、いつしかそれも、白マスがたくさん残るようになっていった。

パズル雑誌は人気があるらしく、棚の一角をしめている。クロスワードとか数独のような基本的なものから、続々と生まれる新種のパズルまで、色々あるので、選ぶのが大変だ。
母に買ったような老眼に優しい大きな文字のパズルとか、点つなぎや間違い探しみたいなやさしいパズルを探したいなら、この辺りだ。

脳トレとか脳活とか、脳を鍛えると話題のパズル問題集は、違う棚を探さないといけない。雑誌の棚の「健康」という項目に置いてあったり、社会福祉の棚にあったりする。

昔の塗り絵の復刻版なんて高齢者狙いが明らかなのに、もっと華やかな大人の塗り絵たちの片隅に埋もれている。
脳トレと銘打った高齢者向け折り紙の本も、超難易度の高い折り紙本の隣に並んでいたりする。
デイサービスで作るような簡単な、老眼でも根気がなくても出来るハンドメイドの本を探し回ると、社会福祉の棚になんとか見つかった。

本当の高齢者、というのはおかしな言い方だけど、自分で自分の欲しい本を探せなくなった方々に、届けたい本はまだまだ限られている気がする。
母の好きだったことに合わせて、これらの本をわたしは探したが、それぞれの人生があって、興味のあるものはそれぞれ違う。
色々な分野の本をつくるのは大変なことだろう。

でもだから、せめて一角にまとめてくれたらと願わずにはいられない。

2025年問題が近づいてきて、高齢者向けの本が、ずいぶん増えてきたと感じる今日この頃。
高齢者コーナーができる日は近い、かな?

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