三四郎くん、本郷界隈を歩き回る。自分、拘置所界隈を歩き回る。
夏目漱石の「三四郎」は、上京ほやほやの三四郎くんがなんとなく成長する話だった。
三四郎くんは東大生なので、本郷のまわりが舞台である。
三四郎くんはそんなにお金を持っていないし、100年以上前の人だから、そこらを歩いて回る。
特に、団子坂を上がったり下がったりしていた。
自分はむかし団子坂のそばをうろうろしていたので、あそこを三四郎が通ったし、三四郎が通ったということは夏目漱石も通ったんだなあと思ったら誇らしくなった。
団子坂は、江戸川乱歩のデビュー小説の舞台でもあるし、森鴎外博物館があるから、たぶん森鴎外が住んでたんだろうし、誇らしさが後から後から湧いてくる感じである。
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一方、現在自分が住んでいる界隈は剣呑なエピソードしか出てこない。
某凶悪少年犯罪があったり、未解決の放火があったり、下山事件があったり、事件しか浮かんでこない。
近所にそびえたつ拘置所が立派なのが救いだ。
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引っ越した当初は下山総裁遭難の碑を見物に行ってミステリー精神を満足させたりしていたが、これだけではいかん、もっと大志を抱いていこうと思う。
100年前の漱石が団子坂を誇らかにしたのと同様に、私も立派になって、100年後の小坊主が、
「うわー、ここが例のkatoがうどんをささらにした界隈かー」
とか、
「この下山総裁云々の石碑をkatoも読んだんだなぁー」
みたいな感慨にふけられるように頑張らなければいかんのだな。
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